全県模試と広島県公立高校入試のギャップ

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

第2回広島県全県模試の採点を終え、平均点を出してみました。

中1:61.7点(7名) 全体平均:46.3点

中2:65.2点(10名) 全体平均:56.5点

中3:72.2点(15名) 全体平均:59.8点

毎年、中3生の最後の模試では平均点が80点を超えるようになるのですが、今年もまた順調に頑張ってくれている感じですね。

ただ、少し気になっていることもあります。

難度の調整法

全県模試の国語の平均点がぐっとおさえられたのはここ数年の話です。

元々、全体平均が65点前後、極端なときには70点に迫る「易しい」模試でした。

しかしながら、ここ数年の全体平均は50点前後をキープしています。

理由は明白で、

①広島県公立高校入試を意識した「複数資料化」がなされるようになったこと

②小説は「古い表現が使われているもの」「方言の多用されるもの」、評論は「抽象度の高いもの」、古典は「単語レベルの高いもの」が採用されるようになったこと

の2点です。

①については大歓迎なのですが、②についてはどうなんでしょう。

小説は適切な難度なものが多いと思いますが、評論と古典の難度は広島県公立高校入試の難度を少し越えてるんじゃないですかね。

大多数の中学生が読める内容で難度を担保しているのが広島県公立高校入試、読めない生徒が多いだろうなという内容で難度を高めているのが全県模試、というのが私の認識です。

ただ、仕方ない部分もあります。

国語という科目の特性上、記述問題の採点基準を定めるのは大変です。

採点基準を定めたとしても、採点する側に「技量」が求められますし、それができる指導者は多くありません。

模試の採点をして成績処理をするスピード感を考えると、「書き抜き問題」を多用した上で難度を高めるしかないのですね。

「書き抜き問題」は記述問題の入り口であり、国語の学習に必要であることは間違いありませんが、全県模試の記述問題は「ほぼ書き抜きだけ」ですからね。

問題としての難度は、広島県公立高校入試と大きく乖離しています。

この模試で全体平均が50点以下ということは、「言葉が足らない」生徒が多いということを示しています。

広島県公立高校入試レベルの記述問題への対応力が身についているかどうかは、ほぼ分からないということです。(「対応できない」ということは分かるでしょうが)

言葉が足らない

第二回全県模試の大問二の文章の冒頭を見てみましょうか。

科学研究の第一要件は知識を創出することにある。

池内了「科学・技術と現代社会」による。

「言葉が足らない」生徒は、この時点でアウトです。

「科学研究の第一要件は」でじんましんが出て、「知識を創出」で投げ捨てますね。

「要件」「創出」でもう読む気がなくなります。

特に、自然を相手にする科学においては、物質の構造・運動・反応性・質的変化・他との関係性・歴史性などを追究し、そこから得られる原理や法則に関して新しい発見がなくてはならない。

池内了「科学・技術と現代社会」による。

この2文目で、空いているスペースに絵を描き始めるか、時計をにらみつけていることでしょう。

そのほかにも、「統一的」「契機」「セレンディピティ―」「~せざる」「漠とした」「固執する」「殉ずる」「寄与する」「頓着」…。

このあたりの言葉は全て無視して読むだろうと思います。

墨塗りだらけの文章を読んで、どうやって解答にたどりつくのか気になりますね。

傍線の近くを探して、指定字数に近い「それっぽい」言葉を探すんでしょうか。

笑えないですが、そういった段階にいる生徒が多いのもまた事実ですよ。

大切なのは、自分のいる段階を自覚することと、適切な対処をしていくことです。

No more 不安煽動キャンペーン

全県模試で苦戦するなら広島県公立高校入試はとんでもない難度なのではないか!?

そんな誤解を生んでしまったらすみません。

よくある不安煽動キャンペーンをするつもりなんてないんです。

たしかに、問題としての難度は広島県公立高校入試が数段上でしょうが、基礎的な問題もちゃんとありますし、文章そのものは読みやすいものが多いです。(小説はいつ「文豪」への揺り戻しがあるか分かりませんが)

しかも、正答率が数%の記述問題であっても、部分点が与えられることが多く、部分正答を含めると、しっかり戦える作りになっています。

だからこそ、令和5年度の広島県公立高校入試の平均点は「26.2点」あるのです。(部分正答がなければとんでもないことになっているはずです。)

私が見ているのはもう少し先のところなので、そのあたりの話はまたの機会にしてみようと思います。