高校古文:解釈演習⑥
共通テスト対策の一環として、過去の入試で出題された解釈問題の解説を行います。
文脈が必要なものは適宜補いながら出題しますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
2017年センター本試
かかる葎のほどには (ア)にげなきまで あてにらうたげなり
①別人に見えるほど
②目立ちすぎるほど
③不釣り合いなほど
④信じられないほど
⑤並ぶ者がないほど
(イ)聞こえまほしき
①うかがいたい
②聞いてほしい
③申し上げたい
④話してほしい
⑤話し合いたい
(ウ)あやしう らうたかりし面影の、夢ならぬ御枕上につと添ひたらむ心地して…
①いやしいことに
②非常識なことに
③疑わしいことに
④不思議なことに
⑤畏れ多いことに
解答・解説
(ア)③
単純な単語問題なのですが、「似げなし」は決して重要語ではありません。
前後文脈から決めるのが王道でしょう。
「このような葎の生えたあたりには、不釣り合いなほど高貴でかわいらしい様子である。」
(イ)③
「聞こゆ」の「ゆ」は、元は上代の助動詞であり、自発を意味します。
ですから、「自然と聞く→聞こえる」という動詞の意味がまずあり、そこから謙譲の本動詞「申し上げる」、謙譲の補助動詞「~し申し上げる」に派生していくわけです。
これだけでも解答は③ですが、願望の助動詞「まほし」も確認だけしておきましょう。
(ウ)④
「あやし」が多義語ですから、⑤以外の意味はすべて適当なのですね。
このことから、文脈判断の問題だと気づいておきましょう。
あとは、「あやし」がかかっている場所が問題です。
「らうたかりし面影」にかかっているとすると、「~なほどに」という訳をしなければなりませんから、選択肢の訳に合いませんよね。
とすると、「かわいかった姿が不思議なことに御枕元に寄り添ってる感じが!!」ととるしかありません。
これは少し頭を使う問題でした。