高校古文:解釈演習④

共通テスト対策の一環として、過去の入試で出題された解釈問題の解説を行います。

文脈が必要なものは適宜補いながら出題しますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

2019年センター本試

(ア)しづ心なく思ひ奉りけるこそあさましけれ

①身のほどを知らず恋焦がれたのは嘆かわしいことだ

②気持ちが静まらずお慕いしたのは驚きあきれたことだ

③見境なく恋心をお伝えになったのはあさはかなことだ

④冷静な心を欠いたまま判断なさったのは情けないことだ

⑤理性を失い好意をお寄せ申し上げるのは恐ろしいことだ


(イ)いかにして…心を慰めばや

①思い直して

②どのようにして

③どういうわけで

④なんとかして

⑤いずれにしても


(ウ)この人の御おぼえのほど の御うらやましさよ(狐が女性に化けて姫君にお仕えしている折、姫君がその女性のことを大層気遣っている描写の後に)

①この人のご自覚の強さ

②この人と姫君のお似合いの様子

③この人に対するご評判の高さ

④この人のご記憶の確かさ

⑤この人の受けるご寵愛の深さ

解答・解説

(ア)②

傍線部が長い問題は、品詞分解が鉄則です。

しづこころ/なく/思ひ/奉り/ける/こそ/あさましけれ

敬語が傍線部に含まれる場合は、まず敬語の訳を検討しますから、謙譲の補助動詞「奉る」を訳出できているものを探します。

この時点で②か⑤まで絞れまして、重要語「あさまし」の意味が唯一とれていない⑤を落とせば、正解にたどりつけますね。

⑤は過去の助動詞「けり」も訳出できていないので、ここで決めても問題ありません。

「しづこころ」に「静心」という漢字をあてて、「落ち着いた心情」の言い換えをベースに絞っていってもかまいません。

どのルートを辿ってもいいですが、まずは敬語。

ここを徹底しましょう。(敬語の訳に比率がなければ、そこで初めて他の箇所を検討すればよいのです。)


(イ)④

「いかにして」は「どのようにして」という意味をもつ重要語です。

ただし、今回のように願望・意志を示す表現と呼応した場合は、「なんとかして~たい(よう)」という訳になります。

頻出の表現なので、覚えていない場合はここで確実に覚えておきましょう。


(ウ)⑤

「おぼえ」は「評判」「人望」「寵愛」を示す名詞ですが、ここは文脈をとらねば解けない問題でしたので、内容を補っています。

このように、文脈に依存する多義語が傍線部に含まれる場合は、前後文脈を反映させた上で判断していきましょう。

ただ、あくまでもその単語の意味でないものは解答になりませんので、そちらは最初に切っておきましょうね。