高校古文:解釈演習①
共通テスト対策の一環として、過去の入試で出題された解釈問題の解説を行います。
文脈が必要なものは適宜補いながら出題しますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
2022年共テ本試
(ア)まどろまれ給はず
①酔いが回らずにいらっしゃる
②お眠りになることができない
③ぼんやりなさっている場合ではない
④お心が安まらずにいらっしゃる
⑤一息つこうともなさらない
(イ)ねびととのひたる
①将来が楽しみな
②成熟した
③着飾った
④場に調和した
⑤年相応の
…御使に参る。ただ(ウ)おほかたなるやうに、「御対面うれしく。御旅寝すさまじくや。」などにて、忍びつつ文あり。
①特別な感じで
②落ち着き払って
③ありふれた挨拶で
④親切心を装って
⑤大人らしい態度で
解答・解説
(ア)②
「まどろむ」は「うとうと眠る」という古今同義語なので、この時点で②を選んでしまっても良いのですが、品詞分解した上で、助動詞・敬語等にも注目しておきましょう。
「まどろま」という四段動詞未然形に接続している以上、「れ」が助動詞「る」の連用形だということは問題ありませんね。
「給ふ」には四段活用、下二段活用の2種類が存在しますが、四段活用の場合は「尊敬」の意味に確定します。
「給は」となっているので、ここも尊敬の補助動詞未然形で決まります。
「ず」は打消の助動詞ですね。
では、「れ」の意味についてですが、「る」「らる」の識別方法を思い出しましょう。
上に格助詞「に」がある、もしくは補える場合は「受身」。
「受身」でなく、主語が偉い人の場合は「尊敬」。
心情語・知覚動詞につく場合は「自発」。
いずれも今回は該当しません。
助動詞「る」「らる」を「可能」でとる場合は、平安時代までの文章では確実に打消の助動詞を伴って不可能の形で訳します。
そして、今回は「ず」がありますから、「れ」が可能に決まるというわけです。
(イ)②
ここは単語で一発の問題でした。
「ねぶ」は「大人びる」「成熟する」「老いる」を意味する単語で、それを反映できているのは②のみです。
一応、完了・存続の助動詞「たり」の訳を反映している選択肢として②③④まで絞り、単語の意味で②に決定するという手順を踏むのが王道です。
「ととのふ」は現代語と同義で「まとまっている」という意味を持ちますが、ここでは「ねぶ」と複合して1つの意味を表していますね。
(ウ)③
ここも「おほかたなり」の意味が分かれば選びきれる問題でしたね。
「おほかたなり」は、「おおよそ」「一般の」を示す古今同義語です。
その意味を反映できているのが③だけ、というわけですね。
選択肢中の「挨拶で」の部分で混乱してはいけないと思い前後の文まで入れましたが、実は必要なかったという問題でした。
今回は単語一発でしたが、たとえば「言ふべくもあらず(言うまでもない)」に線を引いて、「言うまでもなく、何なの?」と問うパターンがあります。
文脈を踏まえて中身を入れるというタイプですね。
そういう形式があるということは、今の段階で頭に入れておいてくださいね。