高校漢文:同訓異字「にはかに」
広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
本日も、同訓異字について扱っていきます。
読みが同じ字を同じ箱の中に入れ、意味の違いを理解しておくと、読解の精度が高まりますよ。
「にはかに」についてみていきましょう。
にはかに
①遽→「急に」「あわてて」
*事態が切迫して慌てふためく様子を示す語です。
②卒・暴→「急に」「不意に」
*「卒倒」という語のイメージから「急に」という意味をリンクさせておくとよいです。
*「つひに」「そつ」「そつす」といった他の読み方、意味もおさえておきましょう。
③俄・驟→「まもなく」「やがて」
*「急に」と訳す場合もあります。
確認問題
同訓異字に着目して、現代語訳しなさい。
①無病而暴死。(やまひなくしてにはかにしす。)
②遽刻其舟曰「是吾剣之所従墜」。(にはかにそのふねにきざみていはく「これわがけんのよりておつるところなり」と。)
③人各有所得、非卒能致。(ひとはおのおのうるところあり、にはかによくいたすところにあらざるなり。)
解答
①病気でないのに急に死んだ。
②あわててその舟に刻んで「ここが私の剣の落ちた所だ」と言った。
③人にはそれぞれ得意とするところがある、急にできることではないのである。