高校漢文:同訓異字「また」

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日も、同訓異字について扱っていきます。

読みが同じ字を同じ箱の中に入れ、意味の違いを理解しておくと、読解の精度が高まりますよ。

「また」についてみていきましょう。

また

①復→「ふたたび」「もう一度」

*「不復~」(また~せず)の形で、「二度と~しない」という意味が頻出です。

②又→「さらに」「そのうえ」

*「A又B」の形で添加の意味をとるパターンが多いです。

③亦→「やはり」「同様に」

*「Aも亦B」の形で、「Aも同様にB」と訳します。

*①~③までの「また」は意味が強い語ではないので、そのまま「また」と訳しておくとうまくいく場合が多いです。

確認問題

同訓異字に着目して、現代語訳しなさい。

①学而時習之、不亦説乎。(まなびてときにこれをならふ、またよろこばしからずや。)

②是亦走也。(これもまたはしるなり。)

③鼠暫止而復作。(ねずみしばらくやめてまたなす。)

解答

①学んで機会を見つけて復習する、なんと喜ばしいことではないか。

*「不亦~乎」(また~ずや)は詠嘆形であり、「なんと~なことではないか」と訳します。

②これも同様に逃げたのである。

*五十歩百歩の故事の一節です。五十歩逃げたものも、百歩逃げた者と同様に逃げたことには変わりないんだよね、ってことを言っています。

③鼠はしばらくの間やめたが、ふたたびした(かじり始めた)。