高校漢文:同訓異字「つひに」

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日も、同訓異字について扱っていきます。

読みが同じ字を同じ箱の中に入れ、意味の違いを理解しておくと、読解の精度が高まりますよ。

「つひに」についてみていきましょう。

つひに

①遂→そのまま、こうして

*現代語「ついに」と同義の「最終的には」でとる場合もありますが、まずは区別して頭に入れておきましょう。

*なぜか「すでに」と読んでしまう誤答が多いので、読み方は精確に暗記しましょう。

②終、卒、竟→最終的には

*上述の漢字はすべて「をふ」「をはる」と読み、「~を終える」という意味を持つので、そちらも確認しておきましょう。

*「卒」は「にはかに」と読み、「急に」を意味することもあるので、どちらでも読めるようにしておきましょう。ちなみに、「にはかに」と読む語は、「俄」「驟」などがあります。

*「卒」は、名詞として扱うと「兵士」を意味し、「そつす」と読むと「死ぬ」を意味します。(「脳卒中」から発想するとよいです)多くの意味を持つ語は当然狙われやすいですから覚えておきましょう。

確認問題

同訓異字に着目して、現代語訳しなさい。

①魏公又使人謝而召之、終不至。(ぎこうまたひとをしてしゃしてこれをめさしむるも、つひにいたらず。)

②欲改之、二人搆思数日竟不獲。(これをあらためんとほっし、ふたりこうしすることすうじつなるも、つひにえず。) *「搆思」:考えを練る

③噲遂入、披帷西嚮立、瞋目視項王。(くわいつひにいり、ゐをひらきてせいきょうしてたち、めをいからしてこうおうをみる。) *「西嚮」:西に向く

解答

①魏公はさらに人をやって謝罪して彼を招集したが、結局やってこなかった。

②これを改めようとして、二人で数日間考えを練ったが、結局できなかった。

③樊噲はそのまま中に入り、帷を開いて西に向いて立ち、目を怒らせて項王を見た。