高校漢文:同訓異字「すなはち」
広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
本日から、同訓異字について扱っていきます。
読みが同じ字を同じ箱の中に入れ、意味の違いを理解しておくと、読解の精度が高まりますよ。
まずは、「すなはち」についてです。
すなはち
①則
「~ばすなはち」→「~ならば」(仮定)「~なので」(原因)
*古文では、仮定条件を示す場合は、「未然形+ば」の形をとりますが、漢文では「已然形+ば」でどちらも示してしまうことが多いです。なお、「未然形+ば」「連用形+んば」の形をとることもあります。
「~はすなはち」→「~は/こそが」(強調)
②即:「すぐに」「つまり」
③便:「すぐに」「つまり」「たやすく」
*「即」とほぼ同じ意味を持ちますが、「便利」という熟語から「たやすく」を連想できるようにしておくとよいです。
④乃:「そこで」「やっと」「かえって」「意外にも」
*「即」「便」と対照的に、時間の幅があるイメージをもっておきましょう。
⑤輒:「すぐに」「そのたびごとに」
*「毎(ごとに)」と共に用いられることが多い字です。
確認問題
同訓異字に着目して、現代語訳しなさい。
①苗則槁矣。(なえはすなはちかれたり。)
②噲即帯剣擁盾入軍門。(かいすなはちけんをおびたてをようしてぐんもんにいる。)
③暁公子之言、則知公子之行矣。(こうしのげんをさとれば、すなはちこうしのおこなひをしらん。)
④即便夜乗小船就之。(すなはちすなはちよるしょうせんにのりてこれにつかんとす。)
⑤公乃釈罪。(こうすなはちつみをゆるせり。)
⑥凡人所為、動輒如意、謂之順境。(およそひとのなすところ、うごけばすなはちいのごとくなる、これをじゅんきょうといふ。)
解答
①苗は枯れてしまっていた。
②樊噲はすぐに剣を身につけ、盾を抱え持って軍門に入った。
③公子の言葉が理解できれば、公子の行いも理解できるだろう。
④すぐに夜なのに小船に乗ってそこに行こうとした。
⑤公はそこで(ようやく)罪を許した。
⑥だいたい人のすることが、動けばそのたびごとに思い通りになることを順境という。