高校漢文:代名詞について確認しよう!
広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
本日は、あえて問われる頻度はそう高くはないものの、読解において重要な代名詞について考えていきましょう。
一人称・二人称の代名詞
今回は、代名詞の中でも主体判定に重要な「人称代名詞」について確認しておきましょう。
いずれも読解に必須な重要語ですから、全て暗記しておいてくださいね。
①一人称の代名詞
・我・吾→「われ」
・余・予→「よ」
・朕→「ちん」:天子の一人称
・寡人→「かじん」:王・諸侯の謙称
・臣→「しん」:家臣の謙称
・妾→「せう」:女性の謙称
*漢文には敬語がありませんが、上記の「謙称」で上下関係を確認することができます。主体判定に利用してください。
②二人称の代名詞
・汝・爾・若・女・(如)→「なんぢ」
・子→「し」:成人男性を指す
・夫子→「ふうし」:成人男性を指す敬称
③三人称の代名詞
・上→「しょう」:天子を指す
*二人称の代名詞である「子」「夫子」は三人称にも用いますので、注意してください。
確認問題
次の文の構文をとり、現代語訳をしなさい。
①吾為子先行。
②爾遠来、応有意。
③朕当使民衣食有余。
④今独臣有船。漢軍至無以渡。
⑤梁恵王曰、「募人之於国也、尽心焉耳矣。」
ヒント
①われしのためにせんこうせん。
②なんぢとおくきたるは、まさにいあるべし。
③ちんまさにたみをしていしょくにあまりあらしむべし。
④いまひとりしんのみふねあり。かんぐんいたるももってわたるなし。
⑤りょうのけいおういはく、「かじんのくににおけるや、こころをつくすのみ。」
解答
赤:S 青:V 緑:C 黄:O
①私があなたのために先を行こう。 吾為子先行。
②あなたが遠くから来たのは、きっと理由があるに違いない。 爾遠来、応有意。
③天子である私は民が衣食に不足することがないようにせねばならない。 朕当使民衣食有余。 *「民」は動作主体
④今ただ私だけが船を持っている。漢国の軍が来ても渡る手段がない。 今独臣有船。漢軍至 無以渡。
⑤梁国の恵王が言った。「徳の少ないこの私が国ですることは、ただ民のために心を尽くすことだけだ。」 梁恵王曰、「募人之於国也、尽心焉耳矣。」