高校漢文:可能形について確認しよう!

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日は、本文中での出現頻度が高い、可能形を作る漢字について考えていきましょう。

可能形・不可能表現

可能形を作る漢字は以下の3つですが、それぞれ若干ニュアンスが異なります。

イメージも込みで頭に入れておきましょう。

①可:「べし」→終止形・連体形から返る。「許可」のイメージ

②得:「う」→体言・連体形+を から返る。「獲得」のイメージ

③能:「よく~」→動詞につながっていく、もしくは「よくす」と呼んで動詞になる。「能力」のイメージ


これらを「不」で否定すれば不可能表現になります。

①不可:「べからず」

②不得:「えず」

③不能:「あたはず」

確認問題

次の文の構文をとり、現代語訳をしなさい。

①其人弗能応也。

②不得以常礼断之。

③客有能為狗盗者。

④聖人之言不能尽解。

⑤天地尚不能久、而況於人乎。


ヒント

①そのひとこたふるあたはざるなり。

②じょうれいをもつてこれをだんずるをえず。 「常礼」:既存の礼法

③きゃくによくくとうをなすものあり。 「狗盗」:こそどろ

④せいじんのげんはことごとくはかいするあたはず。

⑤てんちすらなほひさしきことあたはず、しかるをいはんやひとにおいてをや。

解答

赤:S 青:V 緑:C 黄:O

①その人は答えることができなかった。 其人弗能也。

②既存の礼法でこれを判断することはできない。 不得常礼之。

③食客の中に盗みをできる者がいた。 客能為狗盗者。

④聖人の言葉を完全に理解することはできない。 聖人之言不能尽解。

⑤天地ですら永久であることはできない。まして人ならなおさらだ。 天地尚不能久、而況於乎。