高校漢文:否定の連用・特殊な否定について確認しよう!

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日は、文の極性(肯定/否定)を表す語の中でも、条件文を作る否定の連用について考えていきましょう。

否定の連用/特殊な否定

否定の連用とは、条件文を作る否定形のことです。

否定を示す漢字が2つ用いられているので、二重否定と混同しがちですが、主に読点の有無で判断がつきます。

条件文を作っている、もしくは読点がある場合は否定の連用だと考えておきましょう。

否定の連用には、以下のような形があるので、読み方も含めて知っておいてください。


①不A、不B→AずんばBず:AしなければBしない

②不A、無B→AずんばBなし:AしなければBしない

③非A、不B→AにあらずんばBず:AでないならばBしない

④無A、不B→AなくんばBず:AがないならばBしない

⑤無A、無B→AなくんばBなし:AがなければBがない


否定の連用と同じ漢字の組み合わせで、別の訳になる特殊な連用は以下の通りです。

読点の有無で判断することはできますが、白文の場合は文脈で判断するしかないので注意しましょう。

①無A不B→AとしてBざるはなし:Aは全てBする

②無A無B→AとなくBとなく:AであってもBであっても

確認問題

次の文の構文をとり、現代語訳をしなさい。

①不入虎穴、不得虎子。

②無不用兵馬。

③無兵馬不用。

④無兵馬、不用。

⑤無貴無賤、無長無少、道之所存、師之所存也。


ヒント

①こけつにいらずんば、こじをえず。

②へいばをもちゐざるはなし。 *兵馬:軍隊

③へいばとしてもちゐざるはなし。

④へいばなくんば、もちゐず。

⑤きとなくせんとなく、ちょうとなくしょうとなく、みちのそんするところは、しのそんするところなり。

解説

赤:S 青:V 緑:C 黄:O

①虎の巣穴に入らなければ、虎の子は得られない。 不虎穴、不得虎子。

②軍隊を用いないことはなかった。 無不兵馬。

③用いない軍隊はなかった。 兵馬不用。

④軍隊がなければ用いなかった。 兵馬、不用。

⑤身分が高くても低くても、年上でも年下でも、人としての道が存在するところが師が存在するところである。 無貴無賤、無長無少、道之所存、師之所存也。