高校漢文:再読文字について確認しよう!

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日は、漢文句法の入り口とも言える「再読文字」について扱います。

再読文字

再読文字は、一文字で副詞と助動詞を表す文字です。

最初に読むときは副詞として読むのですが、副詞は語順が自由なので、登場時にそのまま読みます。

また、副詞は自立語ですから、仮名にはしません。

二度目に読むときは助動詞として読みますから、述語から返り点に従って読み返します。

付属語なので、仮名に直して読んでいきましょう。


①未→いまだ~ず

②将(且)→まさに~んとす

③当(応)→まさに~べし/mustとほぼ同じで、助動詞「べし」当然として捉えておきましょう

④宜→よろしく~べし/助動詞「べし」適当として捉えておきましょう

⑤須→すべからく~べし/「必須」という言葉から連想していきましょう。

⑥猶→なほ~のごとし

⑦盍→なんぞ~ざる

確認問題

次の文の構文をとり、現代語訳をしなさい。

①人当惜寸陰。

②引酒且飲之。

③為事須慎始。

④挙足将撃其輪。

⑤聞所未聞、見所未見。


ヒント

①ひとまさにすんいんをおしむべし。

②さけをひきてまさにこれをのまんとす。

③ことをなすにはすべからくはじめをつつしむべし。

④あしをあげてまさにそのわをうたんとす。*「蟷螂の斧」という故事成語の由来です。カマキリが車に立ち向かおうとしています。

⑤いまだきかざるところをきき、いまだみざるところをみる。

解答

赤:S 青:V 緑:C 黄:O 桃:再読文字

①人はほんのわずかな時間も惜しまねばならない。/寸陰。

②酒を手元に引っ張って、まさに飲もうとする。/之。

③物事を成し遂げるには最初に気を付けるべきだ。/始。

④(カマキリが)足を持ち上げて、車輪を撃とうとしている。/其輪。

⑤まだ聞いたことがないことを聞き、まだ見たことがないものを見る。/聞、見。〈所未聞〉〈所未見〉はまとめてOとして扱います。