高校漢文:助詞について確認しよう!

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

本日は、盲点になりがちな「助詞」について扱います。

白文から書き下しに直していく問題で威力を発揮することがありますので、ここでしっかりおさえておきましょう。

助詞

そもそも助詞とは、他の語についていろいろな働きをする語です。

漢文における助詞は、基本的に送り仮名の形で表すのですが、一部の文字は助詞の働きをします。

大きく分けて、格助詞イメージ・終助詞イメージに分けて覚えていきましょう。

なお、書き下し文ではすべて仮名に直してください。


〇格助詞イメージ

者→「は」主格を示します

之→「の」連体修飾格(所有格)や主格を示します

与→「と」並立を示します

自・由・従→「より」起点や比較を示します。なお、この字があると、CがVに先行する語順になるので注意しましょう。

*古文では、「は」は係助詞、「より」は副助詞ですが、細かいことは無視しましょう。


〇終助詞イメージ

哉・也・耶・邪・乎→「や・か」疑問を示します

耳・爾・已・而已・而已矣→「のみ」限定を示します

*古文では「や・か」は係助詞、「のみ」は副助詞ですが、細かいことは無視しましょう。

確認問題

次の文の構文をとり、現代語訳をしなさい。

①先従隗始。

②宜従師之言。

③臣恐強秦之為漁夫。 *臣:臣下の謙称。わたくしめ。

④女知之邪。 *女(なんぢ)

⑤嬰児与戯耳。 *嬰児:赤ちゃん


ヒント

①まずかいよりはじめよ。 *故事成語。何かを始めるときは手近なところから、という意味。

②よろしくしのげんにしたがふべし。 *前回登場した「再読文字」に注意しましょう。

③しんきょうしんのぎょふとなるをおそる。 *故事成語「漁夫の利」。第三者が利益を奪取する、という意味。

④なんじこれをしるか。 *「や」と「か」の区別は今はスルーしておきましょう。

⑤えいじとたわむれるのみ。

解答

赤:S 青:V 緑:C 黄:O 桃:再読文字

①まずはこの隗(を厚遇するところ)から始めよ。/先従隗始。 *「従」がCの塊を作り、Vに先行しています。

②先生の言葉に従うのが良い。/師之言。

③私は強い秦国が争いに乗じて利益を得ることを危惧する。/強秦之漁夫。】 *「之」は「の」と読み、主格を示します。

④あなたはこれを知らないのか。/邪。 *「之」はOなので、「これ」と読み、代名詞を示します。

⑤(私は)ただ赤ちゃんと遊ぶだけだ。/嬰児与耳。 *「と」がある場合は、構文は難解なので訳重視で大丈夫です。