高校古文:助動詞「る」「らる」の練習問題

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

引き続き、助動詞「る」「らる」の練習問題を配信いたします。

それでは早速始めていきましょう。

練習問題

1、傍線部の助動詞の意味を書け。(大分大)

世にはやるといふ事どもを見聞くに、道々しきにも、芸能にも、よきことのみおこなはるるにはあらで、おほかたがなしやすく、まなびやすき事の、まづはやるなりけり。


2、傍線部「言はる」とはどういう意味か。最も適当なものを選べ。《蜻蛉日記》(駒沢大)

「…そもそもさまでやはなほ憂くて命あらむ」など、心細うて言は

袖ひつる 時をだにこそ 嘆きしか 身さへ時雨の ふりもゆくかな

ア:言い張る

イ:おっしゃる

ウ:人に言われる

エ:願いをかける

オ:自然と口に出る


3、傍線部と文法上同一なものはどれか。最も適当なものを選べ。(日本大)

見し東路のことなども思ひ出でられ

1 なきことによりてかく罪せられ給ふを

2 馬引き返して逃げられにけり

3 大臣の宣はく、「それはいかで見られしぞ」

4 笑ひもせられ「あはれ」とも独りごたるる


4、傍線部の助動詞の意味を選べ。(学習院大)

A 死にて閻魔の庁に召さて、王の御前とおぼしき所に参りたるに、

B 「この玉の簾のうちにゐさせ給ひて、かやうに物の沙汰して、我をかへさるる人は、たれにかおはしますらむ」と、いみじくおぼつかなくおぼえければ、

①自発

②尊敬

③可能

④受身

⑤存続

⑥完了

解答・解説

1、受身

一見すると、「で」という打消の接続助詞があることから「可能」に見えるかもしれません。

しかし、世の中でよいことばかりが「人々によって行われる」という文脈ですから、訳の意味を考えると「受身」となります。

あくまで意味ベースで考える必要がある、という理由はここにあります。

識別の基準はたしかに有用ですが、文意を軽視するとすぐに罠にひっかかってしまいますから、注意してください。


2、オ

「言ふ」は心情語ではありませんが、出典に注意しましょう。

「蜻蛉日記」、日記なんですね。

日記や随筆の地の文の主語は、作者です。

つまり、「心細うて」というのは筆者の心情なんですね。

そこを考慮すれば、自発の訳が適当であると判断できると思います。


3、エ

「思ひ出づ」という心情語についていることから、自発であることは判断できると思います。

しかし、選択肢がなかなか厄介です。

「罪せらる」が、「いわれのないことで(人に)罪とされる」ということから受身だということはよいとして、イとエは曲者です。

選択肢だけを見ると、可能でも尊敬でも訳せそうなんですね。

けれども、エが「独りごつ」という心情語についていることから、少なくとも解答はエだと確定します。

このように、判断しきれない選択肢が表れたとしても、明確な解答があればそこを迷わずとればよいわけです。

同様に、明確な誤答の中に、判断しづらい選択肢があったとしても、他が×な以上それが正解となります。

選択肢問題特有のバランス感覚はつけておきましょう。


4、A④ B②

Aは「閻魔の庁に」とありますから、受身で一撃。

Bも「おはします」という尊敬語が用いられているので、尊敬で一撃です。