令和4年(2022年)度:広島県公立高校入試国語解答速報【大問3】 

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

この記事では、令和4年(2022年)度:広島県公立高校入試国語・大問3の解説を致します。

よろしくお付き合いください。

それでは、始めます。

現代語訳

長く地上に伏せて力を養っていた鳥は、必ず高く飛躍するものであり、他よりも先に咲いた花は、人一倍早く散ってしまうものである。このことを理解していれば、足場を失ってよろめき、浮足立つ辛さを避けることができ、焦って気持ちがいらだつ思いを消すことができる。

問1:書き下し問題

此を知らば

レ点を返るだけですが、「此」という漢字をひらがなで表記しないように注意しましょう。

体言を示す言葉は、漢字のまま書き下しますからね。

問2:比喩の理解

成功すること

人が( Ⅰ )を、「鳥が高く飛ぶ」という表現で例えている。

上のような誘導がなされています。

「高く飛ぶ」という言葉を人に当てはめると、たしかに飛躍的に成長すること、成功することを示すのですが、この比喩を十字以内で表現するのは案外難しかったのではないでしょうか。

言葉が思いつくかどうかだけの問題です。

解答の幅はかなり広く許容されるはずです。

問3:空所補充問題

(1)模範解答例:成果を収めるためには、あせらず、準備をすることが大切である

(2)模範解答例:中学校で三年間続けた地道な努力は、今後の成功にきっとつながるはずだから、高校でもあきらめず、陸上競技部に入って活動を継続した方がよい


(1)について、これは難問でしょう。

例年の広島県公立高校入試であれば、解答に用いる要素は、しっかりとした誘導によって与えられていました。

けれども、今回は「地上に伏せて力を養」うという表現から、「準備の重要性」という要素を、「躁急の念を消すべし」という表現から「焦らない」という要素を導かなくてはなりません。

ただ直訳できただけではどうにもならず、そこから教訓を導かなくてはいけないということですね。


(2)については、悪問というより駄問ですね。

(1)で漢文の示している教訓を記述できるだけで、十二分に学力は示せているはずです。

にも関わらず、それを踏まえて「陸上部を続けようよ!」というアドバイスを七十字にもわたって書かされるのです。

古典を実生活に生かすという観点からの出題なのでしょうが、本来「複数資料化」とは、メインテキストの理解を深めるために、メインテキストから知を広げるためになされたはずです。

形だけの複数資料化は目的と手段が逆転しているとしか思えませんね。

試験時間だけを圧迫する駄問です。

(1)の解答を踏まえて、陸上競技部を続けるようにアドバイスできており、指定字数に近い分量を書けていれば正解です。

受験生の皆さんは、模範解答に沿っていないからといって、不安にならなくて大丈夫ですよ。


いかがだったでしょうか。

それでは、令和4年(2022年)度広島県公立高校入試国語解答速報:大問4でお会いしましょう。