令和4年(2022年)度:広島県公立高校入試国語解答速報【大問1】
広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
この記事では、令和4年(2022年)度:広島県公立高校入試国語・大問1の解説を致します。
よろしくお付き合いください。
それでは、始めます。
問1:漢字の読み
ア:かざ
イ:そこ
ウ:しぼ
問2:熟語の構成
エ 到達
「新鮮」と同じ構成をもつ熟語を選択する問題です。
2021年度広島県公立高校入試でも出題がありますね。
新鮮:「新しい」「鮮やか」→似た意味の組み合わせ
ア:攻防:「攻める」「防ぐ」→逆の意味の組み合わせ
イ:不振:「不:打消の語」「振るう」→下の字を打ち消す組み合わせ
ウ:洗車:「洗う」「車を」→下の語が上の語の目的語となる組み合わせ
エ:到達:「到る」「達する」→似た意味の組み合わせ
よって、解答はエとなります。
問3:心情の説明問題
問:師匠の自室を出て、一階まで降りると、篤は廊下の一番奥にある物置へ向かった とあるが、このときの篤の気持ちを、四十五字以内で書きなさい。
模範解答例:師匠や進さんの気持ちに応えるためにも、明日こそは失敗してはいけないという気持ち。
この問題では、傍線部に篤の「行動」だけが記されていますから、その行動が表している「心情」とその「原因」を示す形で四十五字の解答を目指します。
ただ、ここでは「原因」にあたる要素がはっきりしておらず、模範解答例に出てくる「師匠や進さんの気持ち」についても描写はありません。
よって、解答の幅が極端に広い悪問だと言えます。
しかしながら、篤が「物置へ向かった」のは、呼出の練習するためであり、何とか呼出を成功させたいと意気込む気持ちについては読み取れますから、最低限ここはおさえた解答を作りましょう。
「原因」にあたる部分は、明確に本文と矛盾しない限り点数が与えられるはずですから、「師匠の言葉がきっかけ」だとだけ示せていれば十分かと思います。
現古館解答例:①師匠の話を受けて、②より練習を重ねて、③何としても呼出を成功させようと決意する気持ち。(41字)
問4:空所補充問題
(1)ア
(2)模範解答例:坂口さんの優しい心遣いに感謝し、葛藤を乗り越えて決意に至るまでの坂口さんの思いに共感し、自分も同じように変わっていこう
(1)は典型的な空所補充問題です。
空所補充は、すでに埋まっている情報がヒントになりますから、空欄Ⅰの上段を確認してみましょう。
「重々しく」「真剣な目で」というヒントが与えられていますから、ここは坂口の決意や覚悟を示す場面であることが分かります。
イ→「仕方なく状況を受け入れよう」が×
ウ→「安心したように」が×
エ→「高ぶる感情」は、決意がもたらしたものだと解釈できそうですが、より「決意」と要点を示している選択肢アがあるため、×
よって、解答は ア:思いつきではなく、固く決意したように言う となります。
(2)も、まずは空欄Ⅱの前後を確認し、入るべき内容にあたりをつけます。
ミルクティーを口に含んで、(きっかけ) → ( Ⅱ ) → という気持ちで(心情)
上のような構造になっていますから、ミルクティーを飲んだことをきっかけとして、篤にどのような心情変化が起こっているかをまとめます。
本文で該当する場面を確認してみると、以下の点が分かります。
①ミルクティーを飲んだ結果「ほのかな甘さが沁みわたっ」ていること
②その結果、再び呼出の練習を「何度も繰り返し」ていること
しかし、これだけでは指定字数である六十字には到達しそうにありません。
ですから、「ミルクティーで気力が回復したこと」以外にも、練習を再開した理由があると考えましょう。
ミルクティーを差し入れてくれたのは坂口であり、彼は「弟弟子と練習することへの葛藤」を乗り越え、武藤と一緒に稽古することを篤に告げています。
力士である坂口の決意を受けて、篤自身も奮い立っているということが判断できます。
ここまで踏まえれば、模範解答のような解答を作ることができると思いますが、特に後半の内容をとるのは難しいでしょう。
問うている内容が高度なだけに、例年の広島県公立高校入試に見られた「解答への巧みな誘導」がないことを考えると、悪問よりの難問だったと言えるでしょう。
現古館解答例:①呼出の練習に励む気力が回復し、②坂口への感謝の気持ちを抱くとともに、彼の相撲に対する葛藤と決意に共感を抱き、自分も頑張ろう(60字)
問5:空所補充問題
エ しっかりとした足取り
先ほども申し上げた通り、空所補充問題は前後にヒントがあります。
ヒントをおさえていくと、以下のことが分かります。
①篤の足取りが「昨日までとは違」うこと
②呼出を失敗した際の嫌な記憶を振り払い、「見てろよ」と心の中で呟いていること
ここから、篤が呼出を成功させようと意気込んでいる姿が分かりますから、それを示す描写は「しっかりとした足取り」だと分かります。
ア→「重苦しい」が×
イ→「軽やかにはずむ」とは浮かれていて軽快な様子を示す言葉で、先述のシーンとそぐわないので×
ウ→「力のない」が×
いかがだったでしょうか。
それでは、令和4年(2022年)度広島県公立高校入試国語解答速報:大問2でお会いしましょう。