高校受験偏差値と大学受験結果偏差値とのギャップ

広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。

知識としては知っていましたが、改めて数字を出して衝撃を受けた情報についてご共有いたします。

偏差値と進学先のギャップを示す好例だと思います。

ぜひ、ご一読ください。

高校受験偏差値と大学受験結果偏差値

広島県トップの公立高校と言えば基町高校。

基町高校の偏差値は、広島県全県模試を参考にするならば「66」です。

*「69」とするサイトもあります

しかし、実際に進学した大学の偏差値の中央値をとったところ、驚くべき数字が出てきました。

安佐南区の生徒が進学することが多い高校を並べてご紹介しましょう。

高校入試と大学入試の偏差値が別物であるということは、一般的にも知られていることと思います。

高校受験の場合と違って、大学受験における偏差値は、大学受験をする学力層のみで出した偏差値になります。

ですから、大学受験における偏差値「50」は高校受験における偏差値「60」程度の学力層を示すわけです。

えぇ、知識としては知っていました。

が、きちんと数字として出すと、やはり衝撃です。

では、偏差値45~54の生徒が進学する国公立大学を見てみましょう。

ベネッセのデータを基準にした偏差値が以下のものになります。

国公立大学 文系
国公立大学 理系

いかがでしょうか。

広島県の方が想像しやすい国公立大学は、広島大学、県立広島大学、市立広島大学の3校だと思います。

上記の表に登場するのは、市立広島大学のみですね。

ちなみに、私立大学(文系)で言えば、広島修道大学人文学部の偏差値が「56」、安田女子大学文学部の偏差値が「54」となっています。

努力に努力を重ねて進学校と呼ばれる高校に進学したとしても、校内で中間くらいの成績であれば、上記の大学が進学候補になるということです。

私が10年間広島で塾講師をしてきた中で、第一志望に「広島大学」を挙げる生徒は多くいましたが、「とりあえず広島大学」と言って行ける大学ではないのですね。

それが旧帝大であれば、なおさら推して知るべしといったところです。

2021年度難関大合格者数

もう少し具体的に示してみます。

それぞれの高校で、どれくらいの位置にいられれば「難関大」と呼ばれる大学に進学できるのか、というデータについて見てみましょう。

高校名難関大合格者数広島大学合格者数合計
基町高校83名63名146名
国泰寺高校10名39名49名
安古市高校11名36名47名
祇園北高校2名5名7名
沼田高校0名5名5名
現役生のみをまとめており、医学部進学者も計上しています

広島大学以上の難関大に現役合格できる人数の比率は、基町高校約45%、国泰寺高校約18%、安古市高校約17%、祇園北高校約3%、沼田高校約2%です。

こうして見てみると、高校合格をゴールとしてしまうことの危険性がよく分かると思います。

進学した先で「普通の努力」をしているだけでは、恐らくほとんどの場合、希望する大学が求める学力水準には達しません。

あくまで数字にすぎませんが、されど数字。

目標を語る上では、知っておかなくてはならないものですね。

読解力と進学先偏差値

改めて私が示す必要もないですが、教育界をざわつかせた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本の中で、読解力と進学先偏差値の相関がはっきり示されています。

長々と書いてきましたが、ようやく結論です。

「読解力がなければ、大学入試のスタートラインにも立てない」ということがお伝えしたいのです。

基本的に、あらゆる学びは活字の形で示されます。

そこから文意をくみ取り、適切に問われたことに解答すること。

これが全ての科目、全ての試験で求められています。

「読解力がない」ことは、少なくとも大学入試においては大問題だということですね。


さて、上に示した例はあくまで広島県内でのお話です。

県外や私立高校にまで目を向けると、基町高校以上の実績を上げている高校は星の数ほどあります。

*たとえば、愛知県内には、基町高校以上の偏差値とされる公立高校が7校存在します。

高校入試を地方大会と位置付ければ、大学入試は全国大会にあたります。

どれほど苛烈な競争になるかはご想像通りです。

偏差値がすべてだ、なんてことを言うつもりは毛頭ございませんが、やりたいことをやるためには実力が必要で、その実力の示し方の1つが大学入試です

あくまで1つの事実としてお伝えしておきますね。