表現力とは何か
広島国語屋本舗現古館・館長の小林です。
「うちの子は表現力がなくて…」というご相談を受けることがありますが、そもそも「表現力」をどのように定義されていますか?というお話です。
「表現力」をはじめとして、「国語力」「論理的思考力」など、「〇〇力」という言葉は大変に便利ですが、その内実を理解しないまま言葉に振り回されるケースも散見されますからね。
「いい感じのことを書く力」という漠然としたイメージを捨てていただくために、表現力というものの実態をお伝えしようと思います。
表現力の定義
私が定義する「表現力」とは、
①題意に沿った
②解答を導き
③採点者に伝わる表現で示す力
を指します。
これらの力をつけるためには、
①題意を精確にとらえる分析力が、
②問題文を精確にとらえる読解力や解答構成のための基本方針が、
③作題者との対話意識が
必要となります。
①と②については、真っ当な国語指導者のもとで学べば身につくものです。
というより、①と②について教えられない国語指導者は存在する価値がありません。
ですから、ここでは③対話意識についてのお話を掘り下げてみます。
対話意識
私が言う「対話意識」とは、メッセージを伝える相手を想定しながら言葉を推敲する思考のことを指します。
具体的に言えば、
①~ってどういうこと?
②~といえるのはなぜ?
というツッコミを入れながら、それらの疑問を解消できる表現を模索する思考のことですね。
こう書いてみると、既視感を覚える方もいるかもしれません。
どういうこと?という同義換言や、なぜ?という理由説明は、国語の設問における2大テーマだからです。
私たちが解く国語の問題のほとんどが、この2つの思考を問うものです。
結局のところ、私たちが問題を解く過程そのものに、表現力の根幹を支える土台が隠れているわけですね。
青い鳥は鳥かごの中にいるとはよく言ったものです。
さぁ、要約だ!
さて、国語の設問を解く過程に、表現力向上の糸口があることは分かりました。
では、国語の問題を解いていけば「表現力」は自然と身につくのでしょうか?
そこまで簡単な話でもありません。
小・中学生が解くレベルの多くの設問には、字数の制限があったり、指定語句の制限があったりします。
ただ本文の内容をコピー&ペーストすれば「解答」とされてしまうことも多いです。
なかなか自分で表現の工夫をする機会に恵まれないのですね。
そこで、字数制限を課さない要約訓練をおススメします。
利用するのは、市販の教材で構いません。
論点《何を主張するために書かれた文章か》
結論《要するに、何が言いたいのか》
理由・根拠《なぜそう言えるのか》
という3つの要素だけに注目して、思うがままにまとめてみてください。
ただし、《どう言えばわかりやすく伝わるか》という観点だけは忘れないでください。
自分で読んでしっくりこない表現を人に読ませるなんていう野蛮なことはしてはいけません。
自分が書いた内容を読む相手のことを考えて書く。
それが対話意識を身に付ける上での第一歩です。
日常生活でも、そうじゃありませんか。
さて、具体的な方法が知りたい方は、ぜひ弊塾にお越しください。