選抜Ⅱ直前期の国語対策《朝日新聞への寄稿から》
広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
先日の朝日新聞広島版にて、選抜Ⅱ直前期の国語の対策について、拙稿が掲載されました。
限られた字数の中でではありますが、広島県公立高校入試選抜Ⅱ国語についての所見を書いています。
間違っても「令和3年度広島県公立高校入試国語の大問1、問5ーⅡは世紀の悪問であり、作題担当者は速やかに謝罪すべきだ」といったことは書いておりません。(そもそも、それ以外は良問でした)
与えられる条件の中で、どう前向きに対処していくかというお話をしていますので、ぜひご一読ください。
時間を意識した資料読解を

令和3年度広島県公立高校入試・国語では、いくらか目を引く作題の変化もあったが、求められている学力は一貫している。
資料として漫画の1コマが引用されたり、大問三の資料数が増加したりしたからといって、「問われた内容に答える」という原則は揺るがない。
たしかに、令和2年度の平均点である26.5点と比べると、令和3年度の平均点である21.5点は大幅な難化を示しているようにも見える。
しかし、その原因のほとんどは、制限時間の厳しさによるものだろう。
解答欄が空白である割合が10%を超える問題の配点の推移に注目してみると、令和2年度は14点分、令和3年度では21点分となっている。
資料数や大問四の記述字数の増加を考慮すると、「何も書けなくなるほどの難問が出題された」と考えるより「時間内に解ききることが難しくなった」と考えた方が自然である。
よって、ここでは〈与えられた資料に効率よく目を通す方法〉について紹介したい。
全ての資料は、本文との関連の中で提示されるものであるから、まずは本文の内容理解を優先しよう。
文豪が書いた硬質な文章が例年出題される大問一であっても、【生徒の会話】という形で、内容理解のためのヒントが与えられる。
難解な表現1つ1つに時間をとられず、ヒントの登場を信じて先に進むことも重要である。
次に、問題文を丁寧に読み取り、問われている内容を精確に把握してほしい。
そうすることで、資料の中からどういった情報を取り出せばよいのかが定まる。
つまり、資料に目を通すのは、資料をどう使うかを決めた後だということだ。
その際に、設問条件を可視化する習慣もつけておきたい。
問題文や資料に線を引いたり丸をしたりするなどして、「ただ読む」という作業から卒業しよう。
以上のことを踏まえて、入試本番まで3週間となった今、受験生の皆さんにできること。
それは現行の出題形式に沿った6年分、広島県公立高校入試で過去に出題された問題を、実際に50分を計って解いてみることだ。
きっと難しく感じることだろう。
きっと時間が足りないと感じることだろう。
けれども、広島県公立高校入試・国語の問題文や資料は、解答を導くための巧みな誘導に溢れている。
そのヒントを見つけるコツが体得されたとき、皆さんの学力は飛躍的に向上するはずだ。
「問いに答える」「ヒントがある」。
この2点を念頭に置いて、悠然と本番に臨もう。