高校古文:縁語のみつけかた③

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

本日は、掛詞が縁語を導くのパターンの続きと、比喩が縁語を導くパターンについて配信いたします。

みつけてみよう

1、音にのみ きくの白露 夜は起きて 昼は思ひに あへず消ぬべし【掛詞】

2、子だにかく あくがれ出でば 薫物の ひとりやいとど 思ひこがれむ【掛詞】

「堤中納言日記」の「籠(こ:火取香炉の籠)のついで」が出典です。

ある男が、本妻がいながらも、別の女性と子どもをつくります。

ある日、子どもがあまりにも自分を慕うことをいじらしく思った男が、子どもを抱いて出ていってしまい、それを苦しそうに見送った女が、前にある火取香炉を手先でもてあそびながら詠んだ和歌が上のものです。

男はこの和歌を屏風の裏で聞いて、心打たれてそのまま帰らずに居残ることになります。

3、青柳の 糸よりかくる 春しもぞ 乱れて花の ほころびにける【比喩】

解答・解説

1、「置き」と「消ぬ」は「白露」の縁語

「ひ」は覚えておきたい掛詞で、「日」と「思ひ」の「ひ」が掛かっています。

「きく」については、「うわさに聞くばかりの白露」では訳が不自然になりますので、「聞く」と「菊」の掛詞だと判断してください。

「起き」についても、「白露が夜は起きて」では怪奇現象なので、「起き」と「置き」の掛詞になります。

さて、掛詞を発見したら、掛詞の表に出ていない語に注目し、縁語を探すんでした。

「菊」、「置き」、「日」が表に出ていない語ですね。

ここから連想するとなると、やはり「露のイメージ」になりますから、中心語は「白露」とするよいでしょう。

その場合、「置き」と「消ぬ」が縁語になりますね。

ちなみに、「日」、「菊」も縁語だとする説もあるので、それを書いていても問題はありません。

〈うわさに聞くばかりでちっともあなたに逢えない私は、菊にかかる白露と同じはかない存在だ。菊の白露が夜は置いて、昼は日に耐えられずに消えてしまうように、私も夜は寝られないで起きて過ごし、昼は苦しい思いに耐えきれずに消えて死んでしまいそうだ。〉


2、「籠」と「火取」と「火」と「焦がれ」は「薫物」の縁語

「こ」は「子」と「籠」の掛詞、「ひとり」は「一人」と「火取」の掛詞、「ひ」は「思ひ」と「火」の掛詞、これらは覚えておきましょう。

中心語についてですが、枕詞や序詞がある和歌の場合はその中に中心語があるわけですが、掛詞の場合はそれにあてはまらなかったですよね。

つまり、掛詞以外の語に中心語があるということです。

とすると、「薫物のイメージ」で「籠」「火取」「火」「焦がれ」が縁語ということになりますね。

〈子どもでさえこのようにあなたを慕ってふらふらと出ていったならばましてあなたが出ていったならば、私は薫物の火取のように、一人でいっそう恋しさに思い焦がれるでしょう。〉


3、「縒り」と「乱れ」と「綻び」は「糸」の縁語

「青柳の」は「糸」を導く枕詞ですが、この和歌では「青柳」を訳さないと意味が通らないので枕詞としない説もあります。

枕詞、序詞が出てくれば、その中に中心語があるわけですが、今回は判断がつきませんね。

では、どう対処しましょうか。

ざっと和歌を眺めて、「訳に必要のない語」を探してみてください。

「糸」が訳の邪魔になっていることに気づけたでしょうか。

たしかに、「青柳」「春」「花」を縁語にできれば楽ですが、これを「あえて連想される語を詠みこんだ修辞法」とするにはレベルが低すぎます。

要らない語「糸」を見つけ、これが青柳の枝の比喩になっていることに気づいていただきたいわけです。

そうすると、「糸のイメージ」で「縒り」「乱れ」「綻び」が見えてきますね。

ただ、比喩を用いた縁語は難しすぎて、この和歌以外を入試で見たことがありません。

ですから、この和歌だけをしっかり理解しておいていただければ問題ないかと思います。

〈春風によって青々と芽吹いた柳の枝が細い糸を縒り合わせるように絡まりあう美しいその春、ちょうどそのときに、一方では桜のつぼみがひらきはじめて乱れて咲くのだなぁ。〉

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