高校古文:掛詞をみつけてみよう

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

今回は、掛詞を発見する練習をしてみましょう。

頭から直訳ぎみに訳していって、訳が不自然になるところに注目してくださいね。

探してみよう

①立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む

②山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば

③我がごとや 君も恋ふらむ 白露の おきても寝ても 袖ぞ乾かぬ

④わびぬれば いまはたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思ふ

⑤富士の嶺は 恋をするがの 山なれば 思ひありとぞ 煙立つらむ

⑥花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に

⑦梅が枝に 深くぞ頼む おしなべて かざすあふひの ねも見てしがな

⑧大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみも見ず 天橋立 

解答

①因幡/去なば 松/待つ

区切れなし

「し」は強意の副助詞で、よく和歌に表れます。

強意の係助詞「も」とくっついて、「しも」の形でも出てきます。

訳に関わらない「し」は副助詞、と覚えておきましょう。


②枯れ/離れ

三句切れ(係り結び)

格助詞「と」の上は、終止形か命令形をとりますよね。

よって、「ぬ」は完了の助動詞・終止形になります。

連体形の場合は、打消の助動詞です。


③置き/起き

二句切れ(係り結び)

現在推量の助動詞「らむ」、打消の助動詞「ず」。

ここでは係り結びによって連体形になっていますね。


④澪標/身を尽くし

二句切れ(係り結び)

現在推量の助動詞「らむ」、打消の助動詞「ず」。

ここでは係り結びによって連体形になっていますね。


⑤駿河の「駿」/恋をするの「する」 火/思ひの「ひ」

区切れなし

鎌倉中期に活躍し、入試頻出の「とはずがたり」を書いた後深草院二条の作です。

噴火こそしていませんが、富士山の火山活動は、当時活発でした。


⑥降る/経る 長雨/眺め

二句切れ(終助詞)

終助詞「な」は、「な~そ」の形で禁止を示すこともありますが、ここでは「詠嘆」を採用します。


⑦葵/逢ふ日 根/寝

二句切れ(係り結び)

願望の終助詞をここで覚えておきましょう。

「なむ」の識別はまたいずれ。

〈未然形+ばや〉~したい・よう

〈未然形+なむ〉~てほしい

〈連用形+てしがな/にしがな〉~たい


⑧生野の「生」/行く 踏み/文

四句切れ(終止形)

小式部内侍が、母・和泉式部の七光りではないことを示した超絶技巧の和歌で、教科書にも載っていますね。

和泉式部の書いた「和泉式部日記」では、日記には珍しく、作者自身のことを「女」と表記しているので、こちらも覚えておきましょう。

現代語訳

①私はあなたとお別れをして、因幡の山に行ってしまうのですが、その因幡の山の頂上に生えている松ではありませんが、(その名の通り)私のことを待っていてくれると聞いたならば、すぐに帰ってきましょう。

②山里は(どの季節も寂しいけれども)冬は(その)寂しさが一層増すことだなぁ。人の訪れも途絶えるように、草も枯れ果ててしまったと思うと。

③私と同じようにあなたも今頃(私のこと)を恋しく思っているでしょうか。白露が袖に下りたように起きていても寝ていても(涙で)袖が渇くときはないですよ。

④こんなにつらいのだから、もう(我慢しなくても)同じことです。難波の海にある澪標ではないけれども、身を尽くしてあなたに逢いたいと思います。

⑤富士の山は、恋をするという駿河の国の山ですので、(恋の)想いのような火があって煙も立っているのでしょう。

⑥桜の花の色はもうすっかり色あせてしまったのだなぁ、長雨が降り続く間に。そしてそのように私の容姿もまたすっかり衰えてしまったわ。こうして何ということもなく日を過ごし、ぼんやりと物思いにふけっているうちに。

⑦この梅の枝に深く頼みをかけます。今日一般にかざす葵の(葉だけでなく)根も見たいように、京の逢う日だけでなく、二人で寝ることもしてみたいですよ。

⑧大江山を越えてゆく、生野の道は遠いので、(母のいる)天橋立はまだ踏み入れたこともありませんし、(母からの)手紙さえも見ていません。

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