高校古文:和歌の構造
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
こちらでは、「和歌の構造」の知識についてまとめていきます。
ポイントと確認問題で構成していますので、ぜひ挑戦してみてください。
和歌の構造
①五・七・五・七・七 → 三十一文字で構成される
〈初句 第二句 第三句〉= 上の句 = 上= 本
〈第四句 結句〉= 下の句 = 下 = 末
*第三句は、和歌の中心・要に位置するため「腰の句(腰)」と呼ぶ
②句切れ(意味の分かれ目)は、以下の場合に起こる
- 終止形・命令形
- 係り結びの結びの語
- 終助詞・間投助詞
③短歌(三十一音)と長歌(五七を繰り返し、最後を七七で終える)の区別がある
なお、長歌には「反歌」が伴うことが多く、以下の効果をもたらす
・要約:まとめる
・補足:付け加える
・展開:広げる
確認問題
1、「本」「末」とはどういう意味か。(上智大学)
また本はいとめでたくて、末悪しきもあり。
a 上の句と下の句
b 本体と末節
c 万葉集と古今集
d 本源と末葉
2、和歌二首に共通する修辞技巧を選べ。(東洋大学)
・恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
・つつめども 色は出でにけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで
1、枕詞
2、掛詞
3、縁語
4、序詞
5、句切れ
6、折句
7、体言止め
8、本歌取り
解答・解説
1. a
2. 5
句切れのことを「修辞技巧」だと思っていない人は、意外と多いかもしれません。
選択肢も多いし、和歌2首の解釈は面倒だし、知ってる技巧をなんとなく選んでしまった…なんて人もいるでしょう。
句切れも修辞技法、覚えておいてください。
さて、和歌の分析に入っていきます。
「てふ」は「といふ」の音が詰まったもので、「ちょう」と発音します。
「まだき」は「早くも」という意味の副詞で、「こそ~しか(過去・已)」が係り結びになっていますね。
「けり」が詠嘆の助動詞・終止形ですから、三句切れということになります。
恋しているという私の噂が早くも立ってしまったことだよ。誰にも知られぬように思いはじめたのに。
2つ目の和歌は、詠嘆の助動詞・終止形「けり」から二句切れだと判断しましょう。
また、《と・など・とて》の上には、会話文や心の中で思ったことが隠れていることが多いので、「」を補ってあげるとわかりやすくなります。
ここでは、「ものや思ふ」が、人に問われた内容になりますね。
「や~思ふ(ハ四・体)」が係り結び。
係助詞「や・か」は〈疑問・反語〉の意味を持ちますが、ここでは「問ふ」とあるので、〈疑問〉を採用します。
私の恋心は、包み隠していたけれど、顔色に出てしまっていたのだなぁ。「恋をしているのでしょう?」と人に問われるほどまでに。