2021年度広島大学附属中学校:入学検査問題(国語)大問1解説〈中編〉

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

今回は、2021年度広島大学附属中学校入学検査問題(国語)の大問1の解説〈中編〉を行っていきます。

2021年度広島大学附属中学校入学検査問題(国語)の大問1の解説〈前編〉はこちらからご確認ください。

問5:なぜですか問題(選択)

「小説とは本来、読めないものなのです」とありますが、筆者はなぜそう言うのですか。

ア、小説とは、私たちが受け入れるのに抵抗を感じる嘘の情報を含む文章であるから。


さて、ここでは「小説を読めない理由」を探していくわけですが、5段落目から意味段落が変わっていることに注目しましょう。

「いったいなぜ、私は小説を読めないのか。」とわざわざ問題提起してくれているのですが、答えはその後ろに書かれているはずだ、と考えて読み進めていくわけですね。

そうすると、傍線③の直後に、「何しろ、それは虚構である」とあります。

小説が虚構(フィクション)であることを強調しています。

前回の記事でも述べたように、なぜですか問題では、自分の答えと問題文をくっつけて意味が通るのかを確認するんでした。

やってみましょう。

小説が虚構だから、私たちは小説を読めない。

少し論理が一足飛びな気がしますね。

私たちが「虚構」をすんなりと受け入れられる動物であるなら、小説が虚構だとしても、それを読めない理由にはなりません。

ですから、もう少し先まで読んで、解答根拠を待ちます。

すると、「私たちの心や身体には元々、異物や偽物や不要な物を排除するメカニズムが備わっています」「情報だって同じ」という表現が見つかります。

つまり、私たちには不要なものを受け入れようとしない機能が備わっていて、不要だと判断される情報も受け入れがたいんだよ、と言っているのです。

ここまでの流れを整理し、想定される記述解答をつくってみましょう。

人間には不要な物を受け入れまいとする機能が備わっているため、虚構である小説も受け入れがたいものだから。

最後に、自分の答えと問題文をくっつけての確認です。

人間には不要な物を受け入れまいとする機能が備わっているため、虚構である小説も受け入れがたいものだから、私たちは小説を読めない。

意味が通りますね。

では、自分が想定した記述解答〈想定解〉と選択肢を見比べてみましょう。

イ→「相手との言葉のやりとりができないから」× 想定解と大きくずれていますし、そもそも、読書とパソコン・スマートフォンは、どちらも文字を読む必要があるという点で共通点がありました。

ウ→「空間をイメージすることが難しいから」× 本文にない要素ですし、想定解と大きくずれています。

エ→「読む前に知っておかなければならない知識や教養がたくさんあるから」× 本文にない要素ですし、想定解と大きくずれています。

どうだったでしょうか。

このように、本文を理解し、問われている内容をとらえ、想定解を作ったうえで選択肢の検討を進めれば、間違いなく正答を導くことができます。

特に、この(5)の選択肢は、想定解さえ作ってしまえば、ア以外どれも的外れな内容だと即座に判断ができたはずです。

選択肢問題で選択肢から見るのは間違いのもとです。

想定解→選択肢の順序は必ず守りましょう。

選択肢問題は、まず想定解を作ろう!!

問6:どういうこと問題(選択)

「上手に自分を騙して」とは、ここではどういうことを言っていますか。

ウ、実際に何か起こる前に、起こるかもしれないことを予想して備える


これは面白い問題ですが、受験生にとっては難問だったかもしれません。

どういうこと問題は、本文の内容と問いの内容をおさせて言い換えるのが鉄則でした。

まずは、傍線部を含む一文から検討していきましょう。

「私たちは上手に自分を騙して心の方向を変えることで、より自分にとって適切なやり方で世界とかかわることができる」とあります。

つまり、「上手に自分を騙」すという行為は、世界と、現実と向き合う際に有効な手段だということを言っているわけですね。

しかし、これだけだとイメージがしづらいと思います。

ですから、与えられているヒント、わかりにくい部分をわかりやすくするために与えられている具体例をてがかりにするわけです。

傍線部の2行前「たとえば」から読んでいきましょう。

すると、①将来について仮想し準備を整える ②起きてしまった現実を見なかったことにして前に進む という2つの具体例が発見できますよね。

まだ起こっていないことについてあれこれ考えて準備する、というのは、「嘘」をひとまず「本当」とみなしているといえます。

また、起きてしまった現実を見なかったことにして前に進む、というのは、自分に前向きな「嘘」をついているといえます。

つまり、自分に「嘘」をつくことで、現実とうまくつきあうことができる、という具体例が示されているのです。

「上手に自分を騙」すとは、この2つの具体例を指しているのだと理解できたでしょうか。

これが、想定解です。

しかし、選択肢を見てみると、2つの具体例を備えている選択肢が一つもないのですね。

簡単に言うと、完璧な答えが一つもない。

そこで迷う人が多いはずです。

けれども、問いは「最も適切なものを」選べと言っているわけです。

はっきりと間違っている選択肢を切って行けたなら、残った1つがどれだけビミョウな選択肢であっても、それを正解にするしかないんですね。

選択肢問題特有のこのバランス感覚は、演習なくして身につくことはありません。

選択肢問題だから簡単だ!なんていうとんでもない勘違いは、今ここで捨てておきましょう。

選択肢であるがゆえのワナがある、そう理解しておいてくださいね。


それでは、各選択肢の検討に入ります。

ア→「こうなる運命だったと落ち着いて受け止める」× 現実に起きたことを「見なかったことに」するのですから、「落ち着いて受け止める」という記述とは矛盾があります。

イ→「仕方ないこととしてあきらめる」× アの選択肢と同様で、「見なかったことに」して、自分に嘘をついて前向きな気持ちになっているだけです。「あきらめる」という記述は本文にありません。

エ→「あれこれと心配はしない」× 「将来について仮想し準備を整える」という記述と真逆の内容です。

選択肢問題のワナ!△×××なら、△が〇になる!!


2021年度広島大学附属中学校:入学検査問題(国語)大問1解説〈後編〉はこちら。

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