高校国語:基礎力チェックリスト

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

私の主戦場は大学受験のフィールドなのですが、最近は特に小学生への国語教育に関心を持っています。

というのも、「大学受験対策のために国語を勉強しよう!」とやってきてくれる生徒の抱える問題が、長年の積み重ねの結果生まれたものであることが多いからです。

入試の半年前になって駆け込み寺的にやってきていただいても対症療法的な処置しかできず、200点満点中〈60点~80点〉を〈120点前後〉にするのが関の山だったりします。

そもそも、初期段階の〈60点~80点〉もまぐれ当たりの得点ですから、実力を安定させる段階だけでほとんどの場合は終わってしまうのですね。

国語だけに注力できるのならまだしも、受験生が国語以外の科目に割くべき時間は膨大なものですから、こればっかりは仕方がありません。

ある一定程度の力があれば、【解の原則】を伝えるだけですぐに成績が安定したり、得点が跳ね上がったりするのですが、その前段階の存在をご存じない方が多いように感じます。

ですから今回は、高校3年生までに身につけておいてほしい基礎力のチェックリストを差し上げようと思います。

基礎力チェックリスト〈高校生版〉

漢字検定準二級程度の知識がある?

〈高校卒業程度〉の漢字の知識を確かめてくれるのは、漢字検定の二級です。その前段階程度の知識はつけておいてほしいですね。

現代文単語帳を暗記したことがある?

学校によっては、そもそも現代文単語帳の配布が無かったりします。現代文であっても、日常的に私たちが用いている言葉とは硬度が全く違いますから、頻出テーマにまつわる基幹知識は必須です。

意味段落の分かれ目に線を引くことができる?

一文ごとの意味がとれるのももちろんですが、段落同士がどういった関係性にあるのかも意識しながら読んでいきましょう。意味の幅がとれなければ、解答根拠を探す際に本文全体を読み返すことになります。

筆者の主張やその理由など、重要な箇所に線を引くことができる?

意味の強弱を意識しながら読んでいますか?ということです。筆者の主張やその理由がまとまった抽象的表現は、時間をかけてしっかり理解すべきですが、具体例や引用など、あくまで主張の補強にすぎない部分は、手早く読んでいくべきでしょう。また、問題は〈筆者の主張が理解できているか〉を問うわけですから、意味の強い部分、マーキングをした部分が、主に解答の根拠になってきます。

主語・述語、修飾語・被修飾語を意識して、60字程度の一文が書ける?

記述解答の作り方以前の問題で、一文が精確に書けていない場合があります。そういう場合は、高校生であっても、『ふくしま式「本当の国語力」が身につ問題集 一文力編』からスタートします。短文を書けずして、60字を超える「長文」は書けません。

古文単語帳を暗記したことがある?

1週間に10単語~20単語ずつ。そんなペースで小テストをしたところで、単語帳を一周するころには、前半部分の単語を忘れ去っていることでしょう。単語の暗記は、「高速で」「周回する」に限ります。本気で覚えたこと、ありますか?

用言の活用を暗記している?

用言の活用は、助動詞の活用を覚える上でのヒントになります。ここすら曖昧なら、助動詞の活用がボロボロであることは間違いありません。

助動詞の活用とその意味を暗記している?〈文中の意味の判別ができるかどうかは問わない〉

助動詞は頻出の文法知識でありながら、読解にも大きく関わってきます。意味の判別まで完璧であることは求めませんが、最低限活用の暗記や「どのような意味があるのか」の暗記は済ませておきたいところです。

係り結びの法則や、係り結びを起こさない係助詞を説明できる?

中学校でも再三出てきた文法事項です。ここを理解していないのであれば、高校で古文をいかに学んでいないかが一目瞭然です。

敬語の向き〈誰から誰へ〉や絶対敬語、二重尊敬について説明できる?

敬語は主体判定に大きく関わります。そして、主語がとれていることが古文読解のスタートラインですから、敬語の理解度を試すことで、古文読解の習熟度が分かります。

漢文単語を勉強したことがある?

「左右」「百姓」「海内」など、漢文にも重要単語が300程あります。残念ながら、単語帳を出版しても「売れない」という大人の事情で、受験生の目に触れることが少ないのが実情です。

分からない漢字が出てきたとき、その漢字を含んだ熟語から意味を類推するクセがついている?

漢文の読解は、「漢字」の理解度に大きく左右されます。例えば、「称」という漢字が出てきた際に、「称賛」(ほめる)「呼称」(となえる)「対称」(つりあう)と、複数の熟語想定して、意味を類推することができるでしょうか?

再読文字の書き下しとその訳出ができる?

漢文学習の入り口の入り口に「再読文字」があります。ここすらクリアできていないのであれば、その他の句形も暗記していないことが容易に想像できます。

置き字の意味を知っている?

「置き字は読まない語!」という感覚ならば、漢文を学んできていないということです。

否定形・疑問形・反語形の基本的な句形を暗記している?

特に上記の3つの句形を理解できていないと、読み取った内容がまるで違う話になってしまいます。最優先で覚えておくべき句形です。

早めに手を打ちましょう

いかがだったでしょうか?

上のチェックリストに1つでもチェックが入るのであれば、早急に国語の勉強を始めることをお勧め致します。

15ほど項目を示しましたが、「最低限度」の力しか求めていません。

もちろん、全てを完璧な状態で受験学年へと進んでいく高校生は少ないですよ。

しかし、それでは自分が大変な思いをしますよ、ということをお伝えしているわけです。

冒頭でも申し上げた通り、受験生は「国語だけ」を勉強するわけにはいきません。

どれだけ得意な科目があっても、「受験者平均点の〇割以下の得点の科目があれば、不合格」という基準を設けている大学は多いですし、地元の国立大学である広島大学もその1つです。

とするならば、基礎力が不十分な科目については、いち早く手を打っていかなくてはいけませんよね。

対策は早ければ早いほど良いです。

小学生、中学生、高校生と、問題の難易度は異なりますが、問われている内容は本質的には変わりませんから。

砂上に楼閣は建ちませんから、まずは盤石な土台を作りましょう。

そのためにも、ぜひ【解の原則体験講座】を〈現状分析〉に利用してください。

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