国語の問題の解き直しについて
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
国語の学習をしていく中で、様々な文章を読み、問いに答えていくわけですが、「解きっぱなし」で終わっている人が非常に多いです。
今日は、国語の問題の解き直しの効果についてお話していこうと思います。
解き直しの効果
国語の問題を「解きっぱなし」にしてしまう最大の理由は、「同じ文章が入試などに出題されることがない」というものでしょう。
しかし、解き直しとは、そのようなまぐれ当たりを期待した消極的な行為ではありません。
国語の問題を解きなおすことの効果は大きく分けて2つあります。
1,文章の構造を意識した読みの練習になる
2,解法を言語化しながらの確認作業が行える
まず、1についてです。
当たり前のことですが、私たちは初見の文章を読む場合、頭から最後まで一文ずつ文章を読み進めていきます。
初めて読む内容であれば、「次にこんな内容がくるのかな」などと予測をしながら読み進めていくわけですが、その予測は当たっていたり外れていたります。
どうしても場当たり的な、部分的な読みに終始してしまいがちなのです。
その上、時間制限があるわけですからね。
文章のどの部分とどの部分がつながっているのか、どの部分とどの部分が比べる関係になっているのかなど、文章の構造まで意識した読みを行うには、一度の読みでは到底足りません。
解き直しを行うからこそ、一度目に至らなかった細部までの検討が行えるようになるのです。
一度でその構造を捉えられる生徒には、国語の学習はほとんど必要ないことでしょう。
次に、2についてですが、これも1の効果とほとんど同じです。
1度目に解いた時には捉えきれていなかったもの、問題文に仕込まれているヒントや解答の作り方などを、言語化しながら確認することができます。
解説を読んで、聞いて。
完璧な解答を見せられたところで、それを自分でできるようにならなくては、実力はいつまでたってもついてきません。
まずは、真似るところから始めるのですね。
「あ、ここはこういう風に考えればいいんだ!」「そういえばここにヒントがあったな!」などと、学んだことを真似ながら、解き直しをします。
すると、同系統の問題の解答方針が体得されていき、試験本番での再現性が高まります。
同系統の問題
同系統の問題、と言いました。
これは「似た文章」などを指すわけではありませんから、少し補足をしておきます。
同系統の問題とは、問われた内容へのアプローチが同じ問題のことを指します。
分かりやすく例を挙げてみましょう。
たとえば、以下のような問題があるとしましょう。
「ただ肯定する以外には何等の感傷もない木像なのである。」とあるが、それはどういうことか。説明せよ。
坂口安吾「茶番に寄せて」:早大2010
この問題へのアプローチを簡単にまとめてみます。
1,「どういうこと」問題は、同義換言問題であるから、傍線部を分節し、言い換える
2,傍線内の主語が不明瞭であるため、補って説明する
3,「木像」とは比喩表現であるため、その比喩に含まれた主張を説明する
もうお判りでしょうか。
上にまとめたアプローチは、何もこの問題だけにあてはまるものではありませんよね。
「どういうこと」問題にはどのように取り掛かるべきか、傍線内に主語がない場合はどうすべきか、傍線内に比喩が含まれている場合はどうすべきか。
そういった普遍的な解法が並んでいるはずです。
同系統の問題、解けるようになるとは思われませんか?
さぁ、解き直しだ!
結局のところ、解き直しは「読み」と「解き」についての考え方を体得するための訓練だと言えます。
学んだことを自分で使ってみる。
この段階を突破せずして、試験本番に不思議とできるようになっている、なんてことはありません。
解いた問題は決してそのままにせずに、頭の中で、自分で解説をしながら解き直してみましょう。
脳内に小さな私が出てきて授業を始めるようになったら、何も怖いものはなくなりますよ。(強いて言えば、その脳内環境が怖いだけですね。)