小学生国語:説明文が苦手なんです。
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
長年国語を指導していると、「説明文が苦手」という相談を受ける機会が多々あります。
本日は、「説明文が苦手」というお悩みについて、あれこれお話していこうと思います。
物語は好き
「説明文が苦手」という悩みの枕詞に、「物語は好き」というものがあります。
そもそも文章自体を読むことが苦手ならばそう表現すれば良いわけですから、「苦手」でない分野が存在することは、当然と言えば当然かもしれません。
けれども、少しおかしいとは思いませんか?
「説明文が苦手」とセットにするのであれば、「〇〇は得意」とならなくては不自然ですよね。
好き嫌いは感性の話ですが、得意苦手は技術の問題です。
技術の問題であれば、対策は可能。
まずは、ここをスタートラインとしましょう。
説明文が「苦手」か
次に、説明文が本当に「苦手」なのかどうか考えてみましょう。
先ほど確認した通り、「苦手」は技術の未熟さに原因があります。
ここでいう技術とは、「読む技術」と「解く技術」を指します。
これを私は「解の原則」と呼んでいるわけですが、これらの技術をしっかりと身につけていないと、問題が解けなくなってきます。
問題が解けない、苦手だ!
と、こうなるわけです。
しかし、これはさして大きな問題ではありません。
技術を身につければ、「苦手」は解消します。
「嫌い」がもたらす弊害
では、「好き嫌い」についてもう少し考えてみましょう。
「好き嫌い」は感性の問題だと言いました。
「説明文が嫌い」だとすると、その感性が生まれた原因はいったいなんでしょうか。
問題の根っこの部分を捉えないことには、対処のしようがありません。
対処しないままでは説明文の学習に身が入らないわけですから、たとえ「苦手」でなかったとしても、「嫌い」をできる限り解消していかなくては、少なくとも入試の世界では損をします。
さて、説明文を嫌いになる原因は、大きく分けて二つあるかと思います。
①説明されている内容に興味がない
②硬い表現に耐性がない
上の2つを見て、どう感じられるでしょうか。
けしからん!
もっと生活世界全般に興味を持ち、知的好奇心をもって学び続けるべきだぁ!
硬い文章を読み慣れていないだとぉ~!
新聞の社説欄を書き写すなどして、硬い表現に日常的に触れ続けろぉ~!
とでも思われますか?
「嫌い」、いたって普通のことです
私は、こと小学生が説明文が「嫌い」であるのは、普通のことだと思っています。
「好き」であっても、「なんの感情もない」であっても、「嫌い」であっても。
それはそれで良いんです。
だって、それは感性の問題ですから。
たとえば、何かにすごく興味があるとしましょう。
それは、昆虫でもいいし、動物でもいいし、鉄道でもいいし、落語でもいい。
何かに興味があれば、それと関わりのあることは、たとえ難しかったとしても苦も無くチャレンジしていけるでしょう。
昆虫に興味がある子が「ファーブル」の伝記や、昆虫にまつわる説明文に興味を持つ。
昆虫に関わりのある説明文を読み、硬い言葉に耐性だってつくかもしれません。
当然のことです。
しかし、そんな知的好奇心の塊のような人ばかりでないことを、私は知っています。
私は、小学生の間に少なくとも千冊の本を読んでいますが、そのほとんどが物語だったと記憶しています。
学校で習うモアイ像の話にはなんの興味も抱きませんでしたし、モアイ像をキャラクター化したカードゲームを自作して教室で流行らせたりしていました。
名前は、「モアイ・マスターズ」だったかと思いますが、今思えばあまり頭は芳しくなかったかもしれません。
逆に、今はほぼ消滅していると聞く「二分の一成人式」で行われた「走れメロス」の寸劇では、誰よりも熱心に演技を訓練した記憶があります。
兵士B(槍でメロスをおさえる)
この1行の指示に、当時の私の全てを捧げた記憶があります。
説明文で説明されている内容に興味がもてなかったり、硬い表現になれていなかったり。
そんなことは、大したことではありませんし、ほとんどの人にそれが当てはまります。
大切なのは、「得意」になれるかどうか。
「嫌い」と「得意」は両立するんですね。
何も「嫌い」と「苦手」をセットにする必要はありません。
また、「好き嫌い」なんていい加減なものです。
「得意」になれば「好き」がついてくるなんてことも、往々にしてあります。
考える順序が逆なんです。
まずは、得意にしてみましょうよ。
では、どのように得意にするか
得意にしてみましょうよ、なんて大口をたたいたからには、「得意にしてみ」るためのメソッドは持っていなくてはいけません。
それが、私のいうところの「解の原則」であり、硬い内容をなるべく砕いて、楽しみながら学べるようにする話術であったりします。
どのように得意にするか、の結論は
私がアドバイスします
という、結論にもなっていない答えになります。