令和3年度広島県公立高校入試選抜Ⅱ・国語:大問2の解説

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

令和3年度広島県公立高校入試選抜Ⅱ・国語:大問1の解説はこちらからどうぞ。

この記事では、大問2の解説を行っていきます。

大問2の概観

出典は、藤野栄介「指揮者の知恵」。

広島県公立高校入試選抜Ⅱでは過去5年間のうち、芸術論が2回出題されています。(令和2年度平成28年度)

本文を図示したものや、別の文章の提示など、複数資料化の傾向は依然として変わりません。

問4(2)の記述問題では75字以内が指定されましたが、これは広島県公立高校入試選抜Ⅱの中ではボリュームのある記述問題だと言えます。

問1:漢字の書き(1点×2)

ア・の(乗)り越えた

イ・こと(異)なる

問2:空所補充問題(2点)

広島県公立高校入試選抜Ⅱでは、過去2度解答に関わった「譲歩・主張構文」に気づくことができるかがポイントです。

空所の直後に「~ではある」という表現がありますから、これを根拠にアを選ぶこともできるでしょう。

ただ、空所を含む段落の次の段落の冒頭に「しかしながら」という語があります。

たしかに(反対説)だろう。しかし(自説)だ。という明確な根拠がありますから、そちらをおさえた上で解答をしていくとより確実に選ぶことができたと思います。

解答は、

ア 確かに

となります。

他の選択肢が全て接続詞であるのに対して、「確かに」だけが形容動詞・連用形だったので、少し浮いた選択肢ではありました。

問3:空所補充問題(3点)

クラシック音楽は、決して耳に心地よいだけの音楽ではありません とあるが、次の文は、このことについて筆者が述べていることをまとめたものです。空欄Ⅰに当てはまる最も適切な表現を、文章中から十字以内で抜き出して書きなさい。

クラシック音楽では、美しい調和した和音の響きで栄光や自然の美しさを表現するだけではなく、調和せずにぶつかり、強い緊張感と違和感を与える和音によって

( Ⅰ )を表現することも、人々の人生を音楽で表現する上で重要である。

赤字に示した部分が解答根拠となります。

傍線部にある「だけ~ではありません」という表現と、空所の前の「だけではなく」という表現とが一致していますね。

ですから、「だけではない」という表現よりも後ろに解答があると考えて探していきましょう。

空所の前後では、「和音がもたらす+の内容だけではなく~」という内容が書かれていますから、和音がもたらす-の内容を書けば良いのですね。

傍線部の2行後に、解答があります。

人間の負の感情(7字)

問4:図への空所補充問題(1-Ⅱ・Ⅲ→2点×2、2→4点)

図への空所補充問題も、文の空所補充問題と同様に、埋まっている箇所がヒントです。

既に図中に書かれている内容を本文から見つけ出し、その箇所の前後の文章をまずは検討して、解答が発見できれば、図中の形式に沿って補充していきます。

図中には、〈ビジョン・想念・感情〉というキーワードや、〈指揮者の役割〉〈オーケストラの役割〉とありますから、それらの語をヒントにして本文にあたっていくわけです。

すると、すぐに本文の4段落目が発見できるはずです。

けれども、その前後に書かれている内容は〈指揮者・オーケストラの具体的な役割〉ではありませんでした。

ですから、仕方なく〈指揮者・オーケストラの役割〉について書いてある箇所を探していきましょう。

すると、最後の段落にようやくそれらしい記述が登場します。

指揮者が楽譜から曲のビジョンをどう読み取ったのか、そしてどう曲を解釈したか、さらにそれがどのようにオーケストラに伝わり、その情熱が音としてどう表れたかという、その演奏の一回性にこそ、真の楽しみがあるのです。

藤野栄介「指揮者の知恵」による

空欄Ⅱを書くことは容易でしょうが、空欄Ⅲは骨が折れると思います。

なぜなら、「その情熱」という語を抜き出すだけでは解答としては不十分であり、「指揮者の解釈」を指しているのだと言い換える必要があるからです。

本文内容をコピー&ペーストする解答作成ばかりを行ってきた人では、正答はもらえません。

意味内容を理解し、かつそれが伝わるように表現する力を持っている人がしっかり差をつけられる問題です。

良問だったと思います。

Ⅱ:曲を解釈し、その解釈をオーケストラに伝える。

Ⅲ:指揮者の曲の解釈を理解し、音にして表現する。


(2)の解説に入ります。

こちらも、難問ではありますが、きわめて良問です。

問題文の誘導をしっかりと読み解いていきましょう。

さらに、この生徒は【図】中の傍線部分について、ベートーヴェンの『交響曲第九番』の演奏を聴いた聴衆が、ベートーヴェンのどのようなビジョン・想念・感情などを味わって感動に至るのかということに興味をもち、(以下略)

空所前後の表現は以下の通りです。

ベートーヴェンの( Ⅳ )、指揮者・オーケストラを介して深く味わい、自らの人生を無意識に重ね合わせて感動する。

赤字が解答の作り方を誘導してくれています。

①ベートーヴェンの『交響曲第九番』の何に聴衆は感動するのかを書く

②①の内容は、「ベートーヴェンのビジョン・想念・感情」である

以上の2点をおさえた上で、解答の作成に取り掛かります。

まず、本文の『交響曲第九番』についての記述の前後を読んでいきます。

すると、〈苦悩の後の歓喜、そのストーリー自体がカタルシスを感じさせる(中略)自らの人生を無意識に重ね合わせ、感動するのです。〉という表現が見つかりますね。

青字は空所の直後の表現と完全に対応していますね。

ですから、〈苦悩の後の歓喜〉を解答に入れることは決定です。

あとは、ベートーヴェンの〈苦悩の後の歓喜〉についての具体的な内容を書く必要があるわけですが、それは【資料】内から探していく必要があります。

ただし、ただやみくもに探すのではなく、問題文の誘導に従ってください。

「ビジョン・想念・感情」。

この3点を【資料】から取り出し、整えてあげれば解答となります。

シラーの詩の人類愛への強い共感を、〈ビジョン1〉 / 音楽で表現したいという思いを長年抱き続け、〈ビジョン2〉 / 様々なつらい経験を乗り越え、ついに曲を完成させたという、 〈想念〉/ 苦悩の後の歓喜〈感情〉(73字)

長い字数ですから、うっかり「。」を付けてしまうと減点を食らってしまいますから、注意したいところです。

いや、これは本当に鮮やかな出題でした。

採点基準も含めて極めて美しい問題だったと思います。

まとめ

難しさはあったものの、しっかりと問題文・図・資料の中にヒントが張り巡らされていたことに気づいていただけたでしょうか。

この大問2を作題された方には、最大限の敬意を表します。

中学3年生が解くためのヒントをしっかりと与えながら、それでいて難易度を保っています。

近年まれに見る良問だったと言えるでしょう。

令和3年度広島県公立高校入試選抜Ⅱを受験された方にとって、この大問2をしっかり復習しておくことが、高校での現代文の学習に生きると思います。

それでは、令和3年度広島県公立高校入試選抜Ⅱ・国語:大問3の解説でお会いしましょう。

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