広島県公立高校入試に向けてのアドバイス~朝日新聞への寄稿から~

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

1週間ほど前、朝日新聞の朝刊に「広島県公立高校入試対策」についての記事を寄稿しました。

せっかくなので、ご共有しておきますね。


高大接続改革を受けての出題形式の変更が行われてから5年間、広島県公立高校入試・国語の出題に大きな変更点はないと言っていい。

たしかに、平成31年度の平均点である23.6点と比べると、令和2年度の26.5点という平均点を見ると、難度が下がったように感じる人もいるだろう。

しかし、正答率が20%以下の問題の配点は、平成31年度は30点分、令和2年度は25点分と、依然として高い。

部分正答で得点が与えられるとはいうものの、配点の半分の正答率が20%以下の問題を簡単だということはできない。

では、そもそも広島県公立高校入試・国語の難度が高い理由は何だろうか。それは、全ての大問が“複数資料化”されていることだ。

本文だけでなく、それを要約した文章や本文のテーマと関わりのある文章、本文の内容についての生徒の会話文なども提示される。

よって、資料同士の共通点・相違点をつかみ、関連付けながら解答を作る力が求められるのである。

これは高度な要求だと言ってよいが、実は親切な出題方法だと言うこともできる。

なぜなら、“複数資料化”は本文を深く理解させるための工夫だからだ。

例えば、大問一では文豪の書いた硬質な小説が出題される。

恐らく、多くの中学生が読んだことのない言葉遣いや内容だろう。

だからこそ、その理解を助けるために【生徒の会話】が与えられている。

こう考えていけば良いよ、という考え方を示してくれているのだ。

つまり、複数示される資料は〈解答を導くためのヒント〉なのである。

そこで、受験生の皆さんには、与えられているヒントを正しくつかむための訓練を積んでもらいたい。

そのためには、問題文や資料に線を引いたり丸をしたりするなどして、設問条件を可視化する習慣をつけておこう。

全ての問題は「問われた内容に答える」ことが基本なので、問いを意識して解答を作成していくことを徹底して欲しい。

入試本番まで3週間となった今、皆さんにできること。

それは現行の出題形式に沿った5年分、広島県公立高校入試で過去に出題された問題を解いてみることだ。

きっと難しく感じることだろう。

けれども、与えられた文章や資料をよく読んでみると、ヒントが沢山あることに気づけるはずだ。

どれほど難しく見えたとしても、公立高校を受験する中学生が持つ知識で解けない問題は出題されない。

「問いに答える」「ヒントがある」。

この2点を意識して、本番に臨もう。