直前期の国語の過去問の使い方について
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
広島県公立高校入試、国公立大学2次試験、ともに直前期となってきました。
この時期になると、太宰府天満宮のお守りと見まがうばかりに、過去問を大切そうに抱きしめている学生の姿をよく見ます。
もちろん過去問演習は大切ですが、誤った使い方をしている人も多いですからね。
今回は、国語の過去問の使い方についてお伝えしようと思います。
私は国語を専門に教えておりますので、あくまで国語の過去問についてのお話だとお考え下さい。
過去問演習は多くても5年分
過去問演習の目的は、大きく分けて2つです。
①大まかな傾向をつかむため
②時間配分の確認をするため
傾向分析は大切な作業ですが、傾向はあくまで傾向です。
作題方針が変わってしまえばそれまでですから、あくまで「どういった力が求められているのか」をつかむことに注力すべきでしょう。
また、時間配分の確認も重要ですが、時間配分だけ完璧で、肝心の解答の中身がスカスカであれば、合格をつかめるはずがありません。
直前期では、どうしても「実践的」に見えるものに頼ってしまいがちですが、最後の最後までインプットは欠かしてはいけません。
過去問演習は多くても5年分に留めて、傾向をつかんだ後は、自分に足りていない力の底上げを図りましょう。
過去問をただたくさん解いた人、で終わってはいけません。
過去問を解くことは目的ではなく手段だからです。
本番形式で解いた後は、苦手分野を重点的に対策
本番形式で解くとは、①本番と同じ時間設定で ②本番と同じ緊張感をもって解く ということです。
本番で練習通りの実力を発揮するためには、練習を本番として解くしかありません。
過去問を解いたあとは、必ず採点・間違えた問題の解き直しをします。
特に、記述問題の採点は必ずプロに任せてください。
学生ができる自己採点には限界があります。
良い問題集であれば、それが可能になるような配慮がなされています。
けれども、出版されている過去問のほとんどは、紙面の都合上解説が薄く、採点基準がないものがほとんどです。
そんな中で、模範解答を要素に分けて点数化したり、その要素の言い換えを自分ができているかを判断したり。
そんな高度なことを平然とやってのけられる学生なら、そもそも入試は問題なく突破できることでしょう。
赤で答えを書き写す行為を採点・解き直しだと思っておられるなら、即時その考えは改めてください。
試験本番で再現できない学習をいくら重ねたところでそれは無意味ですから、何もやらないことよりも「やった気になってしまう」分弊害は大きいと思います。
さて、解き直しまで適切な仕方で終えると、自分が何を苦手としているのか、志望する進学先はどのような力を求めているのかが見えてくるようになります。
あとは、その力をつけるための学習をするだけですね。
それをどういった問題集で、どういったやり方で行うのか。
その判断をすることも、学生には難しいことだと思います。
やはり、ここでも信頼できるプロに相談をしてください。
その際に、
「私は過去問を解いて〇〇という設問形式や、××といった内容が苦手だと感じました。そこをできるようにするためには、どういった問題集や参考書を、どのようにやればいいですか?」
と、過去問と自分の解いた解答を持って行って質問してみてください。
そこまで自己分析を進めてきた学生に、ちゃんとしたアドバイスを送らないプロなんて一人としていません。
とっかかりは自分でつかむ。
できないところはプロに頼る。
このバランスを学習を進めて欲しいと思います。