高校現代文:基礎~発展まで幅広くカバーしている問題集
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
学参ソムリエが選ぶ!シリーズ第三回、いってみましょう!

①『入試現代文へのアクセス』:荒川久志・石川匠・立川芳雄・野島直子・晴山享/河合出版
入試現代文における大著です。
基本編、発展編、完成編の3冊構成で、この問題集専用のノート教材もあったりします。
初学者は基本編から、偏差値55~60程度の生徒は発展編から取り組むと良いでしょう。
本文解説、問題解説、語句・キーワードの解説、読解の注意点をまとめた「読解へのアクセス」。
解説という解説が、全て充実しています。
解答をいかに構成していくのか、という思考過程を醸成する上で最適のシリーズだと思います。
少し問題が易しいので、偏差値60を超えてくる生徒には物足りなさもあるでしょうが、問題の難しさ=学ぶものの多さではありません。
どの段階の生徒が取り組んでも、得るものがある名著だと考えます。

②『全レベル問題集現代文』:梅澤眞由起/旺文社
こちらは①よりもレベルの分化が細かいです。
講義編と実践編に分かれており、特に『①基礎レベル』の講義編にある「はじめの一歩」は初学者に有用です。
二百字要約や記述解答の採点のポイントも示されており、自学に使いやすいですね。
実践編は入試問題の改題がメインになっています。
ただ、基礎レベルと他のレベルの難易度の差がかなり大きいですから、初学者は基礎レベルをやったあとに、別シリーズの標準レベルのテキストに取り組むことをお勧めします。

③『現代文のトレーニング』:堀木博禮・久保寺享・草土力/Z会
入門編には設問パターンごとの考え方が、必修編には入試頻出テーマの詳細な解説が、記述編には骨太な解説と明確な採点基準が、私大編には私大で狙われやすいテーマと設問がまとまっています。
特に記述編の解説は、問題文の2倍はあろうかという太さです。
良い問題集は解答が分厚く、自学に向かない問題集は問題が分厚い、というのが私の持論です。
唯一の欠点は、解説・コラムの分量が多すぎて、マスターしようと思うと膨大な時間がかかるということ。
これはZ会の問題集にありがちな欠点だと私は思っているのですが、文章を読み慣れていない生徒だと、そもそもこの問題集の解説を読めません。
確かに、レベルごとに必要な力が付く仕様になっているのですが、肝心のそのレベルの生徒が使いこなせないことが多いんですね。
裏を返せば、この問題集をやりきれたときには、相当な実力が付いているということでもあります。
①、②の問題集が初学者からトライできるものであるのに対して、こちらの問題集の入門編は基礎を固めたうえで、より盤石な理解を得ようとする人が使うべきものでしょう。