2021年度共通テスト国語・復習解説:第4問
広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。
いよいよ第4問、漢文の解説となりました。
難度としては、選択肢の練りが甘かったため、例年よりやや易化と言えるでしょう。
漢詩+漢文という複数資料型の出題でしたが、資料ごとの交点を考えると、内容は1つしか想像つかないだろうと思います。
では、いってみましょう。
問4:白文からの書き下し問題
センター試験時代から出題が続いており、二次・私大の試験でもド定番の問題です。
ただ、明確な方針をもって解答している受験生は意外と少ないので、考え方の順序を示しつつ解説をしていきますね。
①文脈上、傍線部が持つであろう意味を考える
まず、「惟意所欲適」という傍線部の前後の文脈を理解することで、傍線部に入るべき意味を考えます。
東西与南北 高下山与林:東西と南北と 山と林とを高下す:東へ西へ南へ北へ、山に林にと、どんなところでも行く
傍線部B 九州可周尋:傍線部B 九州周く尋ぬべし:傍線部B 中国全土を訪れることができる
つまり、「思うがままに、自由自在に移動することができる」という内容を繰り返し述べているのですね。
②問いの核になっている句法・頻出漢字を見抜く
次に、「惟意所欲適」に含まれる句法・頻出漢字を見抜きます。
・惟:「たダ」と読み、「のみ」と呼応する
・所:返読文字「用言の名詞化+ところ(の)」、受身の助動詞「る・らル」が重要
・欲:返読文字「未然形+ン〈意志の助動詞・終止形〉+と欲す」という用法が重要
この時点で④が正答になることが濃厚ですが、二次私大対策も考慮してもう少し考えてみます。
③動詞になりうる漢字を洗い出す
・意:「おもフ」
・適:「ゆク」「かなフ」
これは、共通テストのように選択肢がある場合は、読み方で嘘をつくパターンはほぼ無いと思ってよいでしょう。
読み方の比率に注目してあげると、解答候補が絞れるのでおススメです。
④古文の知識を用いて書き下す・訳す
ここまで出そろった情報を整理してみましょう。
①で類推した内容の訳に持っていこうとすると、「意に適ふ(自分の意のままである)」という方向か、「意に沿うままに適く(思うがままに移動する)」という方向になりますよね。
また、②で見抜いた知識を用いれば、「ところの」「~ンとほっす」と読めている選択肢が正答候補であることも分かります。
①②を満たしており、③で洗い出した動詞候補を、訳の上で正しく使えている選択肢が正答です。
記述式の問題であれば、ここからさらに文型や接続等を意識して書き下す必要がありますが、今回は省略しますね。
以上のポイントを総合考量すると、
解答は、④となります。
2021年度共通テスト第4問は難度が高くありませんでしたし、知識一発で決まる問題も多くありました。
二次私大の試験に向けて必ず復習しておいていただきたい問題は、上の問4くらいでしょうか。
共通テストは確かに大きな関門ですが、それと同時に最初の関門に過ぎないこともまた事実です。
共通テスト利用の私大入試を除けば、ほとんどの受験生が、そこから二次私大の問題を解いていくことなります。
基礎基本を大切にしながら、各自の志望校対策に即した学習も行っていってくださいね。