2021年度共通テスト国語・復習用解説:第2問

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

前回は、第1問で復習しておきたい問題の解説を行いました。

今回は第2問を扱います。

問4:心情の理由説明は、ゴールから考える

傍線部C「私はW君よりも、彼の妻君の眼を恐れた」とあるが、「私」が「妻君の眼」を気にするのはなぜか。

私がW君の妻君を恐れて気にする理由を問うています。

さて、既に「恐れている」という心情を与えられていますから、その原因を探りましょう。

まずは、傍線部を一文に戻します。

すると、「而も(しかも)」という並立・累加の接続詞がありますから、前の文脈を確認しておく必要が出てきます。

前を読んでみると、

①「私」はW君から受けた恩義を重く受け止めており、それを「債務」としてさえ感じるほどの圧迫感を感じている

ことが分かります。

しかし、問題は妻君に対する「私」の視線ですから、傍線部以降も読んでいきます。

そこには、

②羽織や時計をもらっておきながら、病気の主人を見舞いに来ない「私」を責める妻君

の存在が見えてきますね。

ここで重要なのは、それが「私」の

③邪推深い性情からくる空想である

ということです。

つまり、W君から受けた温情を返せないまま疎遠になった現状からくるうしろめたさという自意識が、妻君という存在への疑心暗鬼を駆り立てているのです。

それを踏まえて、選択肢のゴール部分を見比べていきましょう。

ゴールにあるべき内容は、【自意識からくる、妻君に責められるかもしれないという不安感】です。

①その間看病を続けた妻君に自分の冷たさを責められるのではないかと悩んでいるから。 ⇒ ○

②W君を家庭で支える妻君には申し訳ないことをしていると感じているから。 ⇒ 責められる不安感・恐怖と、「申し訳なさ」は、どちらも【W君に恩義を感じていながらも疎遠になってしまっている自分】という同根から来ていますから、許容範囲です。

③妻君に偽善的な態度を指摘されるのではないかという怖さを感じているから。 ⇒ 「偽善的な態度を」という指摘される(責められる)対象が×です。

④妻君の前では卑屈にへりくだらねばならないことを疎ましくも感じているから。 ⇒ 妻君に対する「卑屈」ともとれるような態度は「私」の「空想」ですし、それを「私」自身が認識しています。「へりくだらねばならない」なんてことは書かれておりません。この時点で×です。

⑤苦労をする妻君には顔を合わせられないと悩んでいるから。 ⇒ ②と同じ理由で保留です。

さて、①・②・⑤の検討です。

②慣れないパン菓子屋を始めるほど家計が苦しくなったこと/転職後にさほど家計も潤わず ⇒ 読み取れません。

⑤W君が「私」を立派な人間と評してくれた ⇒ そんな事実はありません。

解答は、①となります。

選択肢の検討は当然のことながら、記述問題においても「ゴールから考える」は大切な考え方ですから、これを機会に頭に叩き込んでおきましょう。

問6(ⅱ)文章の理解・問題文の誘導の把握が大前提

問6は複数資料をうまく生かした出題だったと思います。

小説+批評という形ですね。

【資料】内で主張されていることは以下の通りです。

①小説の著者の持ち味は、多角的な視野で、出来事を忠実に描いていくこと

②「羽織と時計」に拘るあまり、①の持ち味が消え〈W君の描写が薄く〉、物語の深みが無くなっている

問題文では、

評者とは異なる見解を提示した内容

を選べと言われていますから、【資料】で読み取った内容と矛盾した見解を選べばよいわけですね。

つまり、「羽織と時計」に拘ることで、物語に深みが出ている〈「私」について深く描けている〉という見解を探せば良いのです。

【資料】の内容が理解でき、問題文の誘導を適切に読んでいれば、答えの方向性は定まりますよね。

その答えを言い換えてくれているものを選択肢から探すのです。

ですから、W君について描けているかのような見解は、即解答候補から外れます。

②W君のつたなさが…回顧されている

③W君の思いの純粋さを想起させる

では、「私」の描かれ方について言及している①・④を検討します。

①かつてのようにはW君を信頼できなくなっていく「私」の動揺 ⇒ 1回目の「羽織と時計ー」描写では、W君の過剰な恩義に対する表現できない圧迫感が、2回目の「羽織と時計ー」描写では、W君の過剰な恩義を負担にすら思う「私」の自意識が描かれています。「信頼できなくなっていく」わけではありません。

解答は、④となります。


第2問の難易度は、例年並みでしょう。

複数資料をうまく扱えている印象があったのは、唯一第2問かなと思います。

次回は第3問の復習解説です。

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