なぜ「手で読む主義」か

広島国語屋本舗 現古館・館長の小林です。

前回、1つだけ質問をしました。

《なぜ「筆者の主張にマーキングを」する必要があるのでしょうか?》

今回はその答えをお伝えします。

答えはズバリ、「それが問題の答えになるから」です。

考えてみると当たり前のことですよね。

では、答えの言葉に注目しながら、解説をしてみましょう。

①『それが問題の答えに』

私たちが本文を読む際にマーキングしておく「筆者の主張」を指しています。

文章に書いてある内容は、「主張」と「主張の理由」がつかめれば理解ができますし、文章を理解できていることを作題者に示すのが国語の問題です。

ですから、主張にマーキングをしておくと、文章の理解がしやすくなると同時に、問題に答える際の根拠までおさえていることになるのです。

ただし、「理解」と「納得」は違いますから、筆者の意見に対しての共感の有無は問題になりません。

②『なるから』

「それが問題の答えだから」と私は書きませんでした。

「答えだ」と言い切らず、「答えになる」と含みを持たせたことには理由があります。

それは、国語の問題を解くという行為が、筆者の表現をそのまま解答欄に書き写す行為ではないからです。

国語の問題に登場する筆者全員が、私たちに読みやすい、理解しやすい文章を書いてくれるわけではありません。

一癖もふた癖もある、そんなもってまわった表現をする筆者だって当然います。

先ほども書いたように、『文章を理解できていることを作題者に示すのが国語の問題』なわけですから、難解な筆者の表現をコピー&ペーストしただけで文章を理解できていることの証明にしようというのは、ずいぶんと乱暴な話です。

ですから、マーキングでおさえた筆者の主張は、あくまで「解答を作るための材料」にすぎないもので、それを解答にするためには「適切な加工」が必要になります。

では、どういった加工をする必要があるのでしょう。

それは、またの機会にお伝えすることにしますね。