高校国語:現代文の語彙を増やすための参考書①

広島国語屋本舗 現古館 館長の小林が、国語の参考書を紹介するコーナー、【学参ソムリエが選ぶ!】。

現代文における知的素地、「語彙力」を増強するのにうってつけな学参を、2回に分けてご紹介します。

【頻出テーマをつかむための読み物】

①『イラスト図解でよくわかる! 現代文読解のテーマとキーワード』:児玉克順/Gakken

入試現代文頻出のテーマを「Chapter」の中で概論的に解説し、解説内で出てきた重要語句を「KEYWORD & KEYPERSON」で定義しています。

イラストがかわいく、「Chapter」部分の文章量も比較的少ないので、現代文が苦手な人でもとっつきやすいと思います。

扱っている内容は見た目より広い印象です。

②『大学入試 現代文のコア 読解のための最重要テーマとキーワード』:兵頭宗俊/かんき出版

入試現代文の頻出テーマが「コア」という形で示され、コアごとに筆者の独自の切り口の解説が付いています。

「独自の」と言っても、突飛な議論が展開されているわけではありません。

あくまで内容は硬派、けれども語り口が軽妙なんですね。

コアは全部で60個。(評論テーマ48:小説テーマ6:読解テーマ6)

読み物として単純に面白いと思います。

【現代文が苦手な人向けの単語帳】

①『読解を深める現代文単語 評論・小説』:晴山享・立川芳雄・菊川智子・川野一幸/桐原書店

いたってオーソドックスな単語帳。

オーソドックスとは、「伝統的/正統的」という意味の単語ですが、ここでは「汎用性がある」という意味で捉えていただけると良いと思います。

自己主張が薄くは見えますが、「テーマ解説」「参考」に書かれる内容は、頻出テーマの理解に大いに役立つと思います。

使いやすい一冊です。

②『イラストとネットワーキングで覚える現代文単語 げんたん』:伊原勇一・土井諭・柴田隆行/いいずな書店

使いやすさの点では①の単語帳と同じくらいだと思いますが、単語数が単純に100語多く、769単語収録されています。

特筆すべきは「コラム」や「小説テーマ理解編」、「意見論述編」です。

「コラム」の中では受験生にお勧めの著作が多数紹介され、「小説テーマ理解編」では実際の小説を素材にして、入試頻出のテーマが解説されています。

「意見論述編」では、マインドマップやマトリクス、りんごマップなど、語彙を溜めたその先、実際にそれを自分の言葉として表現するための方法が丁寧に解説されています。

ここまで踏み込んだ単語帳を私は初めて見ましたね。

今秋出版された改訂版では、共通テストで出題が予想される「修辞用語」や「詩歌の鑑賞」についての付録も追加され、より充実した内容へとパワーアップしていました。